「不妊ルーム」

二人目不妊はなぜ多い?

二人目不妊のカップルがとても増えています。
二人目不妊においても器質的な問題が、
一人目を出産した後にも生じ得ますから、
一通りのスクリーニングの検査をすることは意味のあることです。
しかし、もし特定の原因が見いだせないのであれば、
不妊治療だけに期待するのではなく、二人のこれまでを振り返り、
生活を見直してみることで、
手がかりを見いだすことができる場合も多いのです。
二人目不妊を克服するカギが、
セックスに「新鮮さ」を見いだすことだったりします。

不妊治療の現状において、一人目不妊、二人目不妊を問わず、
女性の年齢が35歳以上であった場合、
非常に短い期間で体外受精に誘導されるケースが、
目立って多くなってきています。
私のこれまでの不妊相談の経験から、二人目不妊に対しては、
高度生殖医療は、あまり考えてほしくないと思っています。

第一の理由は、何よりもその医療費が
膨大であるということがあげられます。
そして、二人目不妊であっても高度生殖医療の妊娠率は、
年齢とともに低下していきますから、
二人目のお子さんを授かる確率も低くなっていきます。

子供は小さい時はとても手間がかかりますが、
親の手がかからなくなってくるころから、
今度はお金がかかるようになってきます。
体外受精という大きな医療費を投資した場合、
今いるお子さんに将来そのツケが回ってこないのか心配するのです。
ですから、二人目不妊も含め不妊治療は、
ファミリー・プランニングとしてではなく、
ライフ・プランニングと位置づけてほしいと思います。

性急な不妊治療はNGです

妊娠とはまったく関係ない一般論を言っているように聞こえるでしょうか? 
でも、そんことはありません。
どうも私には、今どきの「急がば急げ」の不妊治療が、
生活の中から、あなたのうるおいを奪ってしまう気がしてならないのです。

■自分は不妊専門の医療機関に通っているのですが、
治療のステップアップが早そうで、
今すぐに人工授精や体外受精をすすめられたらどうしようか、
本当に悩んでいました。
先生もお忙しいせいかほとんど話を聞いてくれません。
でも、今すぐに高度生殖医療を受けるのはやめようと心に決め、
その代わり心と体を妊娠しやすい方向に持っていこう、
何も急ぐ必要はないと思ったら、なんだか気持ちがスッキリしました。■

実際、不妊治療の医療機関には、型どおりの診察と、
テンポの速いステップアップで治療を行うところが少なくないようです。
患者さんが治療のテンポについていけなかったり、
ステップアップに躊躇していることに、
先生は気付いてくれているでしょうか? 
急いだからといって、いい結果が必ず出るものではありません。
もっとじっくり、ときには回り道をすることが、
案外早道だったりするのが「妊娠」です。

「うさぎとかめ」と妊娠

「うさぎとかめ」という有名な童話があります。
かめがうさぎにかけっこで勝てたのは、
うさぎが途中でさぼって寝ていたからです。
不妊治療と「不妊ルーム」の関係も、
「うさぎとかめ」に例えられるのかもしれません。
もちろん不妊治療の先生がうさぎのように、
休んでいたり、さぼったりするわけではありません。

ちょっと考えてみましょう。不妊治療の医療機関には、
うさぎが駆け足で走るように、型どおりの診察と、
テンポの速いステップアップで、人工授精、
体外受精へと進んでしまうところが少なくありません。
患者さんが治療のテンポについていけなかったり、
ステップア?に躊躇していると、
ドロップアウトということも少なくありません。
また、治療の長期化に伴い、ストレスをため込んで
結果的にバーンアウトしてしまう女性も多く見てきました。
「不妊ルーム」は、あくまでもかめの歩みのごとく、
”まったりと、ゆったりと”をモットーに考えています。

もし妊娠へ至る道が、直線レースのようであれば、
かめはうさぎに勝つことなど絶対できません。
しかし妊娠というのは、1周が28日~30日のトラック競技のようなもの。
かめがゆっくり歩いても、走ってきたうさぎが、
あなたのうしろにいるかもしれないと考えてみてはどうでしょうか?

ステップダウンも不妊治療!

現在の不妊治療は、登り道だけの
片道切符しか渡されないケースが多いのです。
しかし私は、不妊治療にも下り道(ステップダウン)があると思うのです。

体外受精まで進んだカップルが、
治療をやめたら自然妊娠したという話はあちこちから聞きます。
実際、体外受精などの高度生殖医療を行う医療機関での統計でも、
不妊外来受診者の75パーセントは
タイミング法による妊娠だったということです。

私がここで言いたいのは、不妊治療を受けていても、
自然妊娠の可能性、
あるいはより自然に近い妊娠の可能性を追求しようということです。
それはすなわち、不妊治療にはステップアップだけではなく、
ステップダウンもあるということです。

直角三角形の三角定規を思い出してください。
片方は急な坂道、もう一辺はなだらかな坂道です。
どうやら不妊治療は、険しいルートからの登山になることが多いようです。
反対に回ると、ハイキングのような感覚で、
頂上に行きつくこともあるのです。

ちなみに、「不妊ルーム」のフォローアップで妊娠されるカップルの
7割以上が不妊治療経験者です。

レッスン: 不妊治療をやすんでみるのも不妊治療

44歳女性が妊娠した理由

「不妊ルーム」で、44歳の女性が妊娠されました。
彼女が妊娠に至った理由を考えてみたいと思います。

医学的な理由づけとしては、彼女は不妊治療経験がありませんでした。
ですから、hCGやhMGといった、卵子や卵巣の老化を早めてしまう
注射などが一切行われていません。
これは大変重要な点です。

その一方で、彼女は妊娠しやすい性格だったと言えると思います。
本人は年齢はもちろん自覚されていましたが、
いつも前向きで明るく、ポジティブな印象を私は受けました。
こうしたことは医学的ではない、と考える方もおられますが、
私はそうは考えません。

彼女の妊娠が分かった時、うちのクリニックのスタッフから
「とても44歳には見えない」という声が上がりました。
こうした見かけが若く見える、気持ちを若く持つことは、
副交感神経優位に働きますので、妊娠に対してもポジティブな効果がある、
私はそのように考えています。

また数年前に「不妊ルーム」の最高齢となる47歳の女性が妊娠され、
その後48歳で出産されました。
彼女もまた物事に動じない、明るい、しっかりした性格の方でした。
この女性に関しては、『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)
に詳しく書きました。

さらに、このおふたかたに共通していることは、
周囲に対して協力的な性格であると言うことです。
「私の妊娠が皆様の励みになるのであれば、私としても大変うれしいです」
「なんとしても48歳で出産して、皆さんを元気づけたいですね」
といったコメントが印象的でした。

「不妊ルーム」のモットーは、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”
ということです。




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