「不妊ルーム」

体外受精卒業というキーワード

最近「不妊ルーム」に訪れる方で、第一子を体外受精で授かって、
第二子を自然妊娠したいという方がとても増えています。

そうした女性のひとりが発した言葉が、
「体外受精は卒業しました。第二子は先生のところでお願いします」
というものでした。

私はこれはよい傾向なのではないかと思っています。
私は比較的年齢の若い女性に対しても、ご夫婦が納得されるのであれば、
体外受精に進んでみてはとアドバイスすることも多くなりました。

手段を選ばずという言葉はあまりよくないかもしれませんが、
カップル、とりわけ女性は、お子さんをひとり授かると、
精神的にとても落ち着くものです。
そして第二子に関しては、冷静に戦略的な対応がしやすいのです。
体外受精は自由診療なのですから、医療側の裁量権も大きいのですが、
カップル側も消費者感覚で、イニシアティブをもつことが大切です。

しかし体外受精は人工授精などに比べると、桁違いに高額な医療です。
ですから医療機関の選択と言うことが何よりも大切になってきます。
セカンドオピニオンが大切な理由がここにもあります。

レッスン:体外受精卒業も考える

不妊治療において、タイミング法、排卵誘発剤はともかく、
人工授精、そして体外受精や顕微授精が高度生殖医療などといわれると、
不妊治療というものが実にオドロオドロしく、
難解なことのように思えてきます。

しかし不妊治療は、実はシンプルなのです。
ひとことで言えば、「不妊治療とは精子と卵子を縮める医療」
と考えることができます。
そして、そうした視点でみていくと、
不妊治療はとても理解しやすくなります。

まず不妊治療の最初の段階で行われることが多いタイミング法ですが、
これは医師が卵胞の大きさを計測することによって、
排卵の時期を予測し、セックスのタイミングを指導します。
すなわち精子も卵子も、ともに寿命が短いがゆえに、
精子と卵子が出会う日にちを縮めるわけです。

第二段階の人工授精ですが、通常のセックスであれば、
精子は膣から子宮を通過して、卵管の膨大部と呼ばれるところまで、
15cm~20cmの距離を移動しなければなりません。
人工授精は、直接精子を子宮の中に入れることによって、
距離を約半分に縮めようとするわけです。

体外受精では、女性の卵巣から卵子をとり出して、
シャーレの中で精子をふりかけるわけですから、
精子と卵子の距離は、限りなくゼロに近くなります。
顕微授精では1匹の精子を拾い上げ、
それを直接卵子の中に入れてしまうわけですから、
名実ともに精子と卵子の距離はゼロになります。

妊娠と「ウーマンケア」

最近私は「ウーマンケア」と言うことを
皆さんにお伝えしています。
「ウーマンケア」ということを、
言い出したのには理由があります。

妊娠ということが気になり出すと、
そのことばかりに頭が行って、近視眼的な思考になりがちです。
しかしすべては、健康あってのことだと思うのです。

妊娠期間は1年にもなりませんが、
この期間中に女性の体重はどんどん増えていきます。
もしあなたに貧血があった場合、フラフラな体では、
妊娠を継続するのは難しいかもしれません。

出産の後は、子育というロングランの生活が始まります。
そのために何より大切なのは、あなた自身の健康だと思うのです。

また、最近になって、甲状腺の病気と妊娠の関係を
重要視する不妊の先生が増えています。
甲状腺の病気は、男性の何倍も女性が罹患しやすいのです。

ほかにも女性がかかりやすい病気がいくつもあります。
そしてそれらの大半は当院の内科のシステムを
使ってチェックすることができます。
私が最近、「ウーマンケア」を強調している理由です。
急がば回れ”の「ウーマンケア」は、大切です。

私は以前、ホームページに次のように書いたことがありました。
「体外受精」ですか?「海外旅行」ですか? 
もしかしたら「海外受精」するかもしれません。

体外受精にかけるお金で、海外旅行に行ってみたら、
妊娠しました……こんな報告をしてくれたカップルがいたので、
このように書いてみたのです。
このフレーズに対して、「不愉快だ、こちらは真剣なのに」
と言う人もいました、、。

不妊治療を不真面目にみているのではもちろんありません。
こういった言葉にある意味過敏に反応してしまうとすれば、
リラックスした気分で不妊治療を受けることはむずかしいものです。
妊娠しにくい心の持ち方をしているのではないかと思ってしまいます。

ですから、あなた方も肩の力を抜いて、大きく深呼吸! 
リラックスして、これからのふたりの進む道を話し合ってみてください。

不妊治療は一般的にステップアップ療法で進みます。
すなわち最初はタイミング法、それでうまくいかなければ、
第二ステップとしての人工授精、
そして第3ステップとしての体外受精となるわけです。

ステップアップというと、次のフェイズ(段階)に行ってしまうので、
何やら前に戻れないような印象も持ちますし、
なんとなく重苦しい雰囲気もあります。

階段を上る時を考えてみてください。
私たちは階段をぴょんぴょんと、両足一緒に駆け上がるでしょうか? 
そんなことをする人は誰もいませんね。
片足ずつ交互に登っていくはずです。
そこで不妊治療も片足だけの
ステップアップを考えてみてはどうでしょうか。

タイミング法の次は人工授精になるわけですが、
自分たちでもタイミングをとるわけです。
これはとても大切な考え方で、
人工授精にステップアップしたからといって、
タイミング法における妊娠が不可能だと言うことを
意味するものではないからです。

目的はまず妊娠することなのですから、
妊娠した時に人工授精で妊娠したのか、
タイミングバッチリだったから、
タイミングで妊娠したのか分からないというのが理想だと思います。
このような考え方をすれば、
人工授精に進んでも前向きな気持ちになれると思います。




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