Archive for 1月, 2019

あなたがた夫婦が、不妊治療におけるセカンドステップである
人工授精を受ける予定がある、あるいは現在すでに受けているのなら、
人工授精とはどういうものかを、正しく理解しておく必要があります。

人工授精とは、男性の精液をパートナーの子宮内に注入することです。
この技術はかなり古くから行なわれており、
また健康保険適用外ですが1回の人工授精にかかる費用は
およそ1.5~3万円程度。
また、この治療を受けること自体は、
体にもそんなに負担になることではありません。

この人工授精の場合でも、成功するかどうかのキー・ポイントは、
どれほど正確に排卵のタイミングにあわせて精子を注入できるかにあります。
そのために卵胞の計測や、排卵誘発剤のクロミッドを利用したりするわけですが、
それでも人工授精における妊娠率は、5~8%。
妊娠率がさほど高くないため、5回~10回程度行なうのが一般的です。

「不妊ルーム」が産声を上げてから、19年近い歳月が流れました。
この間に本当に色々なことがありました。
そうした中で、ここ数年顕著な傾向があります。
それは、一人目を「不妊ルーム」で妊娠、
そして出産された女性が二人目を希望して、
再度「不妊ルーム」でのフォローアップを希望するといったケースが、
とてもに増えているのです。

ところが、ここで私は大きな壁にぶつかってしまいました。
というのは、一人目が自然妊娠、
あるいは、「不妊ルーム」で一人目を妊娠、
そして出産した女性が、4~5年経てから
「不妊ルーム」を訪れるというケースが多いのです。
一人目を出産したのが30代半ばであれば、
40歳前後ということになります。

もちろん、夫婦の側にしてみれば、
子どもができると二人目どころではなくなりますから、
子育てに振り回される日々が続きます。
そして?の子がヨチヨチ歩きを始め、
そして保育園、幼稚園に入園したあたりから二人目を考えはじめるのです。
ですから、4~5年の時間が経過するといういうことは、
ある意味自然なことなのです。

しかし、二人目を希望した女性が40歳前後となると、
卵子のエイジングという問題が前面に出てきます。
私は現在こうした二人目希望の女性と
毎日のように顔を会わせているわけですが、
こうした二人目希望を叶えることを「ドリームアゲイン」といっています。
そして、こうした女性達から異口同音に出てくるのが、
「卵子のエイジングということを最初から知っていれば、
もう少し子どもを持つという計画を、
前倒しで考えることができた」ということです。

幸いなことに、漢方薬に加え、最近DHEAサプリメントなどを使って、
年齢の高い女性でも妊娠される方がとても増えてきました。

「短所は裏から見れば長所」という言葉があります。
私は、こういう言い方が大変好きです。

たとえば、20代の若さでママになったのであれば、
体力も充実していますから、子育てもパワフルにできるかもしれません。
そして、あなたが30代後半でお母さんになったのだとすれば、
20代のママのように、力強い子育てはできないかもしれません。
しかし、ちょっとあなたの人生を振り返ってみてください。
 
もし、あなたが仕事を持っていた女性であれば、
会社で新規事業を企画して、それをパワーポイントなどを使って
プレゼンしたのではないでしょうか。
あるいは、新人の研修をしたり、プロジェクトの中心としてがんばったり
……すなわち、あなたの人生の経験値が、とても高いわけです。

そうした人生経験は、妊娠へのアプローチにも生かすことができます。
35歳以上の妊娠は、戦略を持つことが大切です。
あなたのいま置かれている状況を冷静に分析し、
どうすれば妊娠に近づくのか、どんな治療を望み、
そしておこなえばよいか、より大局に立って判断しようということです。
そのために必要なのが、これまでの経験です。
ものごとを判断するとき、あなたの人生経験は必ずいかされるでしょう。

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。
これは、不妊治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。
私がメールで不妊治療からリタイアすることをすすめたことに対して、
お礼を書いてきてくれたのです。

   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。

赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと
不妊治療に足を踏み入れ、身体的精神的苦痛を味わい、
経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、
どんなにがんばっても赤ちゃんに恵まれないカップルはいるのです。

不妊治療を続ければ続けるほど、
赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、
いつかは決断をしなくてはならないときもきます。

不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、
どうしても赤ちゃんができなければ、
赤ちゃんのいる生活がすべてではないと
割り切ることも必要になってきます。
不妊治療をこれから始めるという方は、
そのことも夫婦で確認し合うことがたいせつだと思います。

二人目不妊のカップルがとても増えています。
二人目不妊においても器質的な問題が、
一人目を出産した後にも生じ得ますから、
一通りのスクリーニングの検査をすることは意味のあることです。

しかし、もし特定の原因が見いだせないのであれば、
不妊治療だけに期待するのではなく、
二人のこれまでを振り返り、生活を見直してみることで、
手がかりを見いだすことができる場合も多いのです。
二人目不妊を克服するカギが、
セックスに「新鮮さ」を見いだすことだったりします。

不妊治療の現状において、一人目不妊、二人目不妊を問わず、
女性の年齢が35歳以上であった場合、
非常に短い期間で体外受精に誘導されるケースが、
目立って多くなってきています。