Archive for 7月, 2018

「うさぎとかめ」と妊娠

「うさぎとかめ」という有名な童話があります。
かめがうさぎにかけっこで勝てたのは、
うさぎが途中でさぼって寝ていたからです。
不妊治療と「不妊ルーム」の関係も、
「うさぎとかめ」に例えられるのかもしれません。
もちろん不妊治療の先生がうさぎのように、
休んでいたり、さぼったりするわけではありません。

ちょっと考えてみましょう。不妊治療の医療機関には、
うさぎが駆け足で走るように、型どおりの診察と、
テンポの速いステップアップで、人工授精、
体外受精へと進んでしまうところが少なくありません。
患者さんが治療のテンポについていけなかったり、
ステップア?に躊躇していると、
ドロップアウトということも少なくありません。
また、治療の長期化に伴い、ストレスをため込んで
結果的にバーンアウトしてしまう女性も多く見てきました。
「不妊ルーム」は、あくまでもかめの歩みのごとく、
”まったりと、ゆったりと”をモットーに考えています。

もし妊娠へ至る道が、直線レースのようであれば、
かめはうさぎに勝つことなど絶対できません。
しかし妊娠というのは、1周が28日~30日のトラック競技のようなもの。
かめがゆっくり歩いても、走ってきたうさぎが、
あなたのうしろにいるかもしれないと考えてみてはどうでしょうか?

ステップダウンも不妊治療!

現在の不妊治療は、登り道だけの
片道切符しか渡されないケースが多いのです。
しかし私は、不妊治療にも下り道(ステップダウン)があると思うのです。

体外受精まで進んだカップルが、
治療をやめたら自然妊娠したという話はあちこちから聞きます。
実際、体外受精などの高度生殖医療を行う医療機関での統計でも、
不妊外来受診者の75パーセントは
タイミング法による妊娠だったということです。

私がここで言いたいのは、不妊治療を受けていても、
自然妊娠の可能性、
あるいはより自然に近い妊娠の可能性を追求しようということです。
それはすなわち、不妊治療にはステップアップだけではなく、
ステップダウンもあるということです。

直角三角形の三角定規を思い出してください。
片方は急な坂道、もう一辺はなだらかな坂道です。
どうやら不妊治療は、険しいルートからの登山になることが多いようです。
反対に回ると、ハイキングのような感覚で、
頂上に行きつくこともあるのです。

ちなみに、「不妊ルーム」のフォローアップで妊娠されるカップルの
7割以上が不妊治療経験者です。

レッスン: 不妊治療をやすんでみるのも不妊治療

44歳女性が妊娠した理由

「不妊ルーム」で、44歳の女性が妊娠されました。
彼女が妊娠に至った理由を考えてみたいと思います。

医学的な理由づけとしては、彼女は不妊治療経験がありませんでした。
ですから、hCGやhMGといった、卵子や卵巣の老化を早めてしまう
注射などが一切行われていません。
これは大変重要な点です。

その一方で、彼女は妊娠しやすい性格だったと言えると思います。
本人は年齢はもちろん自覚されていましたが、
いつも前向きで明るく、ポジティブな印象を私は受けました。
こうしたことは医学的ではない、と考える方もおられますが、
私はそうは考えません。

彼女の妊娠が分かった時、うちのクリニックのスタッフから
「とても44歳には見えない」という声が上がりました。
こうした見かけが若く見える、気持ちを若く持つことは、
副交感神経優位に働きますので、妊娠に対してもポジティブな効果がある、
私はそのように考えています。

また数年前に「不妊ルーム」の最高齢となる47歳の女性が妊娠され、
その後48歳で出産されました。
彼女もまた物事に動じない、明るい、しっかりした性格の方でした。
この女性に関しては、『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)
に詳しく書きました。

さらに、このおふたかたに共通していることは、
周囲に対して協力的な性格であると言うことです。
「私の妊娠が皆様の励みになるのであれば、私としても大変うれしいです」
「なんとしても48歳で出産して、皆さんを元気づけたいですね」
といったコメントが印象的でした。

「不妊ルーム」のモットーは、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”
ということです。

One More Kid 考えませんか?

子どもが1人いて、ハッピーで、今の生活に何の不満もない。
しかし子どもが1人の家庭より、2人いたほうがにぎやかです。

少子化対策をどうのこうの言うつもりはありません。
ただより多くの人々で支える地域社会、
そしてにぎやかな国が、豊かなように私は思えるのです。

一人っ子では、兄弟げんかはできませんし、
それぞれ自分の立ち位置を学んでいきます。
子どもが3人いたら、お家はもうコミュニティです。

ふたりめの相談等で、ちょっと遠慮がちに見える方も多いのですが、
もっとポジティブに考えて、ふたりめ、そして3人目と、
アクティブなアクションを起こしてほしいと私は願っています。

当院に二人目希望の相談で来られる方は、
出産後、数年経ってという方がとても多いのです。

ですから”One More Kid”というフレーズを
頭にインプットして欲しいのです。
そうすれば、アクションを速やかに行えると思うのです。

“One More Kid”を考えてみませんか。

不妊治療は一般的にステップアップ療法で進みます。
すなわち最初はタイミング法、それでうまくいかなければ、
第二ステップとしての人工授精、
そして第3ステップとしての体外受精となるわけです。

ステップアップというと、次のフェイズ(段階)に行ってしまうので、
何やら前に戻れないような印象も持ちますし、
なんとなく重苦しい雰囲気もあります。

階段を上る時を考えてみてください。
私たちは階段をぴょんぴょんと、両足一緒に駆け上がるでしょうか? 
そんなことをする人は誰もいませんね。
片足ずつ交互に登っていくはずです。
そこで不妊治療も片足だけのステップアップを
考えてみてはどうでしょうか。

タイミング法の次は人工授精になるわけですが、
自分たちでもタイミングをとるわけです。
これはとても大切な考え方で、
人工授精にステップアップしたからといって、
タイミング法における妊娠が不可能だと言うことを
意味するものではないからです。

目的は妊娠することなのですから、
妊娠した時に人工授精で妊娠したのか、
タイミングバッチリだったから、
タイミングで妊娠したのか分からないというのが理想だと思います。
このような考え方をすれば、
人工授精に進んでも前向きな気持ちになれると思います。