「不妊ルーム」

Archive for 2月, 2018

妊娠とDHEAサプリメント

妊娠を困難にする因子のひとつは、女性の年齢、
正確には卵巣内の卵子年齢です。
この卵子のエイジングに対しては、「不妊ルーム」では、
フォローアップ開始当初から、漢方薬で対処してきました。

女性の生理期間中にFSHを測定し、この値を指標にして、
漢方薬で反応を見てきたわけです。女性は35歳を過ぎると、
FSHの値が上昇し始めます。
この値は、8mIU/ml以下が望ましいとされていますが、
40歳前後から、10以上の女性が多くなります。

ここ数年、「不妊ルーム」におけるフォローアップで、
37歳以上で妊娠される女性の数がとても増えてきました。
それはDHEAサプリメント(以下、DHEAサプリ)を
使用してからのことです。
DHEAは、女性ホルモン、男性ホルモンの前駆体、
すなわち原料と考えられ、DHEAは、
加齢と共に減少することが知られています。

DHEAサプリを服用してもらうと、
良質な卵が排卵されやすいことが知られています。
そこで、DHEAの値の低い女性に、
DHEAサプリを服用してもらえば、良質な卵が排卵され、
妊娠しやすくなると考えたわけです。さらに、

DHEAサプリの使用に積極的になった理由は、

 1)DHEAの値は採血で簡単に測定できる
 2)数値が生理周期の変動を受けにくい

というメリットがあったからです。

また、体外受精などでも、DHEAサプリを服用しての採卵で、
良好卵がとれるとの報告もあります。

「不妊ルーム」でも、47歳の女性が妊娠され、
その後、48歳で出産されました。
この方も、妊娠時の処方は、漢方薬+DHEAサプリでした。
これからも、FSH、DHEAなどを指標とし、
1人でも多くの女性が妊娠されるよう取り組んでいきます。

漢方薬は体質改善の薬?

「不妊ルーム」へ相談にお見えになる女性は、
漢方薬を希望される方がとても多いのです。
そうした方々がよく口にするのは、
「体質を改善したいので、漢方薬をお願いします。」とか、
「妊娠しやすい体質になる漢方薬をお願いできませんか?」
などと言われます。

要するに漢方薬というのは、体質を改善する薬だと、
多くの人が認識しているようです。
あくまでも妊娠に限ってのことですが、
私はこの”体質改善”というのは、
少しニュアンスが違うのかなという印象を持っています。

私は男性ですから化粧はしませんが、漢方薬というのは、
化粧品でいうなら、ファンデーションに相当するのではないか、
そういう印象をもっているのです。
体質を変えるというよりは、土台を作るといったイメージなのです。

「不妊ルーム」では、漢方薬の服用だけで妊娠する人は、
とてもたくさんいます。
そして、その漢方薬というファンデーションに、排卵誘発剤、
黄体ホルモン製剤などの投与が、
いわば口紅やアイシャドーのような役割を果たして、
目元・口元にインパクトを与える、
そういったイメージを私は持っているのです。
ですから、「漢方薬+クロミッド」で妊娠される方も多いです。

自分で自分に病名をつける必要も、自分を病人にする必要はありません。
「不妊」を複雑に考えないという以前に、
自分を不妊症と決めつけないことが第一です。

「不妊ルーム」で妊娠された女性からのメッセージです:
「不妊も自分の個性・チャームポイントと思って受け入れてみてください。
わたしは、そう気がついて気持ちが前向きになれました。」

一度、「私は不妊かしら?」と思ってしまうと、
どんどんとその疑念は大きくなりがちです。
そしてその原因を自分で探ろうとして、
不妊の深みにはまってしまう方が多いのです。
それは、ちょっと胃が痛くなると、
『家庭の医学』といった本を取り出してきて、胃がんのページを広げ、
「最近、食欲が落ちてきた
「微熱が続く」など、並んでいる項目に自分を当てはめ、
自分は「胃がん」に違いないと決め込んでしまうのにも似ています。

自分で自分を病人にするということは、日常的によくあることです。
不妊を複雑に考えないということは、
すなわち、なるべく自分を病気と考えないということ。
特に不妊は、もし二人が子供を希望してなければ、
全く医療を必要としないことも多いのですから、なおさらです。
不妊治療を受けているからといって、
自分は不妊症だと決まったわけではないと、
気持ちを前向きに持つことが大切だと思います。

現代の女性は妊娠しにくいか?

現代の女性は、明治時代や大正時代などの女性に比べると、
妊娠しづらい状況にあるという、ちょっとがっかりするような、
ほっとするようなお話をしたいと思います。

それは現代がストレス社会だからということもありますが、
もっと生物学的な理由があるのです。
少し考えてみましょう。
明治、大正時代においては、女性は若くして結婚し、
子どもが5人、10人ということもまれではありませんでした。

そうした時代にあっては、女性が50歳近くになっても、
子どもを産むことができたのです。
何故でしょうか?

子供をたくさん産んだということは、
妊娠している期間が長かったと言うことです。
妊娠中は生理がありません。
そのため卵巣の中の卵子は休眠状態になります。
ですから卵子の数も減りませんし、そんなにエイジングもしないのです。
年齢より若い卵子がたくさん存在していますので、
高齢になっても妊娠ができたわけです。

最近街中で、〇〇IVFクリニック、◎◎ARTクリニック
といった看板を目にすることがあると思います。

IVFとはそのまま体外受精のことですし、
ARTとは「生殖補助医療」という意味ですが、
体外受精と同義と考えてかまいません。
要するにIVFクリニック、ARTクリニックと言うのは、
体外受精に力を入れているクリニックだということです。

そうしたことをあまり理解していない人が多いかもしれません。
ですからこうしたクリニックのドアをノックすると、
短期間に体外受精を勧められてしまいがちなのです。
最初から体外受精を決心している場合はいいのですが、
軽い気持ちでこうしたクリニックを受診すると、
ちょっと思わぬ行き違いが生じてしまうかもしれません。

しかし、ART、IVFと言う目印を出しているからといって、
技術的に優れているクリニックという保証はどこにもないのです。
またこうした医療機関のホームページには、私の目から見て、
ちょっと不妊治療の常識からかけ離れた妊娠率が
表示されていることがあります。

不妊の原因のない若いカップルの妊娠率は、
排卵周期あたり20~30%ですから、
体外受精1回あたりの妊娠率が、
40~50%などはあり得ないのです。

体外受精の実態は、ホームページから伺い知ることができない、
これまで長年「不妊ルーム」を運営してきた私の実感です。




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