「不妊ルーム」

Archive for 1月, 2018

多くのかたは、子どもを望んで「不妊ルーム」に来院されます。
大変印象深いケースですけれども、非常に面白い方もおられるのです。
かなり前になりますけれども、
ある女性が「不妊ルーム」に相談にこられました。
ところがその女性は、椅子にすわると、
「私は子どもはいりません」と言うわけです。

それで私が不思議に思って、「子どもがいらないのになぜ、
「不妊ルーム」にくるのですか?」と聞きました。
彼女が言うには、「私は子どもは欲しくないんだけれども、
旦那が子ども、子どもってうるさいのです」というわけです。
それで、仕方なしに背中を押されて相談にきた。そういう話なんです。
それで、ご本人の検査、ご主人の精液検査を行いましたが、
何ら問題となる所見は出てきませんでした。

想像するに、”子どもは欲しくない”という気持ちが、
妊娠にネガティブに働いているのではなかろうかと、思ったわけです。
何も問題がないわけですから、2~3ヶ月で、
その方は妊娠反応陽性が出たわけです。
それで私が「あなたは妊娠していますよ」と言いますと、
返ってきた言葉が、「ああ、そうですか」
そして、その次に出てきた言葉が
「これで、フラメンコの稽古はお休みですね」とそういった次第でした。
いわゆる感慨とか、そういった様なものがまったく感じられなかったんです。

ところが、その女性というのは、当時クリニックから
そんなに遠くない所に住んでいらしたようで、2年くらい経って、
たまたまその女性を駅前で私は見かけたわけです。
そうすると、2年前とは全く別人になっているわけなんですね。
子どもが可愛くて、可愛くてしょうがないと。ちょっとでも歩くと、
すぐに追っかけて、「危ないでしょう、○○ちゃん」と言っている。
全く同じ人だと思えない。
そういった経験も「不妊ルーム」ではしています。

日常とは、自分たちでは気づかないくらい
少しずつ変化していくものです。
そしてあるときふと、
日常の生活から笑い声や会話がなくなっていたり、
新婚時代には欠かさず飾っていた花が
なくなっていることに気づくということがあります。
生活というものは、肌と同じように、
うるおいを与える努力を怠ると、
カサついてしまうのかもしれません。

「最近、生活にうるおいを感じない……」と思ったら、
ちょっと手をとめて、家のなかを見渡してましょう。
「あ、こんなものがあったんだ」と発見があるかもしれません。
以前読もうと思って買っておいた本が、
本棚でほこりをかぶっていませんか。
蒔こうと思って取っておいた花の種、
整理しなければならない写真の束、
返事を出していない友人からの手紙、
はじめてご主人からプレゼントされたアクセサリー、
結婚記念日……。しばらく忘れていたものの再発見が、
あなたにひとときのうるおいを
与えてくれるのではないでしょうか。

妊娠しやすい排卵日はいつか?

 基礎体温をつけていくと、ある程度排卵日を予測できます。
長い間、低温期の最後にさらに一段体温が下がる日があり(最低体温日)、
この日が排卵日だとずっと考えられてきました。
これは、卵巣の中で育った卵胞が破れて排卵すると
卵胞は黄体というものに変化し、ここから分泌される
黄体ホルモンによって体温が上昇します。
ですから、この体温がいちばん下がった日を排卵日とすることは、
理にかなっていました。

 ところが、経膣超音波法の登場によって、
卵胞の大きさまで測定できるようになると、
排卵の時期を数時間単位で予測できるようになりました。
そして、実際に排卵が起こった時期を調べてみると、
必ずしも最低体温日に排卵するわけではなく
むしろ、その翌日のほうが頻度が高いことがわかってきました。

 おおよその頻度を示すと、最低体温日前日5%、最低体温日22%、
最低体温日翌日(低温相最終日)40%、
最低体温日翌々日(高温相初日)25%です。
最低体温日=排卵日という考えがまかり通っていますので、
まずはこの事実を認識することが重要です。

そして、最低体温日の前日からの5日間は、
最も妊娠しやすい「GOLDEN 5DAYS」です。
この期間のセックスの頻度を高くすると、妊娠の可能性は高まります。

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。
これは、不妊治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。
私がメールで不妊治療からリタイアすることをすすめたことに対して、
お礼を書いてきてくれたのです。

   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。

赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと
不妊治療に足を踏み入れ、身体的、精神的苦痛を味わい、
経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、
どんなにがんばっても赤ちゃんに恵まれないカップルはいるのです。

不妊治療を続ければ続けるほど、
赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、
いつかは決断をしなくてはならないときもきます。

不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、
どうしても赤ちゃんができなければ、
赤ちゃんのいる生活がすべてではないと
割り切ることも必要になってきます。
不妊治療をこれから始めるという方は、
そのことも夫婦で確認し合うことがたいせつだと思います。

進んで年をとらない!

女性のほうが年を気にするからでしょうか? 
私は患者さん(特に女性の)とお話ししていて、
とても気になることがあるのです。
それは、自分の年を必要以上に
気にしすぎるきらいがあるということです。

「不妊ルーム」に来られた方には、
問診表に生年月日と年齢を書いていただくので、
私にはその女性の年齢が分かります。
そこで「あなたは35歳ですね」と聞くと
「今年36になります」と答える人が少なくないのです。

その人は誕生日の前日までは、まちがいなく35歳なのです。
なぜ自分から進んで年を取ろうとするのでしょうか? 
こういう方は、35歳の年のほとんどを、
36歳の気分で過ごしているのでしょうか? 
ネガティブな考え方だと思いませんか?




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