「不妊ルーム」

Archive for 1月, 2018

妊娠より大切なこと

「不妊ルーム」を訪れる皆さんは、妊娠を目的として来られます。
ですから私は全力を挙げて、一日でも早く妊娠していただけるよう
日々努力しています。

しかし「不妊ルーム」では、ただ妊娠すればよいと考えていません。
何事も健康あってのことだと思っているのです。
最近、「ウーマンケア」ということに力を入れています。
「ウーマンケア」の目的は、健康な体で妊娠しましょうということです。

最近日本では、30~40代女性の乳がんが急増しています。
これには食生活の欧米化が密接に関係しているといわれています。
ですから当院では、超音波による乳がんチェックに力を入れています。
超音波検査であればマンモグラフィーのように放射線被曝がありません。
また、30~40代女性では、マンモグラフィーより、
超音波検査のほうが、乳がんの検出率が高いのです。

注意しておきたいのは、女性に乳ガンがあった場合、
その後妊娠すると、確実に乳ガンが成長してしまいます。
それは妊娠によって、女性ホルモン、黄体ホルモンの分泌がアップし、
こうしたホルモンは、乳ガンに促進的に働いてしまうからです。
ですから妊娠された方には、必ず乳がんチェックを勧めています。

さらに女性は毎月生理がありますから、鉄欠乏性貧血と
隣り合わせの生活をしているといっても過言ではありません。
また、貧血でふらふらな体では、妊娠が継続するか心配です。
ですから貧血のケアにも力を入れています。

今から8,9年ほど前のことでしょうか? 
42歳の女性が、二人目不妊の相談に見えたことがありました。
彼女は30代半ばで一人目のお子さんを出産し、
それからしばらくして二人目を希望しました。
しかし、なかなか授からないため、不妊治療のドアをノックして、
数年間の治療をおこないました。
それでも妊娠しないということで、「不妊ルーム」を訪問されたのです。

私は彼女の年齢、検査所見、そしてこれまでの経過などから、
「妊娠は難しいでしょう」と、率直な意見を述べました。
彼女は肩を落としながらも、心情を吐露しました。

「実は私もひとりっ子です。しかし私は、両親以外に祖父母、
そして周りに親戚の方も数多くいる中で育ちましたので、
そんなに淋しい思いをすることはありませんでした。
しかし私の子どもが大きくなった頃を思うと、
本当に周りにだれも血縁のある人がいないのではないか。
そうであるならせめて、肉親を残してあげたい、
私はそのように思ったのです。」

今の時代、人間関係が希薄というか?BR> コミュニティの力が弱くなっていると思います。
ですから家族という絆を大きくしたいという彼女の思いは、
本当にうなずくものがありました。
そのことが直接のきっかけかどうかわかりませんが、
私は二人目不妊に積極的に取り組むようになっていきました。

それからは、「不妊ルーム」で一人目を妊娠された方が、
数年経って二人目を希望して
再度訪れるというケースが増えてくるにつれて、
二人目不妊ということが、私にとって大きなテーマとなっていきました。

ひとりでも多くの方の二人目、そして三人目の希望にも叶うよう、
「不妊ルーム」は努力していきたい、そう思うのです。

不妊治療を離れてみる!

 不妊治療は、確かに妊娠のためのひとつの手段ですが、
不妊治療をはじめると視野狭窄になる場合が多く、
妊娠は不妊治療の延長線上にしかないと思いがちです。
しかし、そんなことはないのです。

 不妊治療で、かえってセックスの回数が
減ってしまうケースはよくみられます。
不妊治療のタイミング指導を受けると、排卵日に合わせて、
その日のみセックスをするという味気のない状態になります。
また、人工授精や体外受精へとステップアップするにつれて、
心身ともに疲れてしまうカップルを多くみてきました。
このような状態ではなかなか妊娠しにくいのもので、
私はこれを「不妊治療不妊」と呼んでいます。

 不妊治療に行き詰まったり、不安が芽生えたときには、
不妊治療をいったん休んで自然にまかせてみるもの不妊治療です。
また、その間に妊娠に至ったケースもしばしば見かけます。
いったん不妊治療を休んだら、ふたりでゆっくり将来のことを考えたり、
旅行などにでかけてみたり、趣味をはじめるなど、
リラックスして過ごすようにしましょう。

 そして余裕があれば、二人でできるタイミング法にも
チャレンジしてみてください。
そのときも、「妊娠するのかしないのかは
誰にもわからないんだから気楽にやろう」
というくらいに考えていてよいのです。

例えば、「不妊ルーム」で妊娠される女性の7割は、不妊治療経験者です。
ですから、「不妊ルーム」の基本精神は、
”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない!”ということ名のです。

 レッスン:不妊治療を休んでみるのも不妊治療

 排卵日前後に、なるべく多くセックスをするというのはおすすめの方法です。
しかし、排卵日がプレッシャーになる状況であれば、
いったんそこから離れて自然な気持ちに任せてみるのも立派な治療です。

 女性も男性も子作りのためだけにするセックスを
「楽しいもの」「愛し合うための行為」とは思えないものです。
目的のはっきりしたセックスばかりで、お互いのことを
「妊娠するために必要な存在」としか見られなくなってしまっては大変です。
 そもそも女性は、排卵が近づくと
セックスをしたいという欲求が高まる女性ホルモンの分泌が上昇します。
人間も動物ですから、種を保存するために
妊娠しやすい時期に性欲が高まるのはごく自然なことです。

Lesson:自然の欲求に任せたセックスは妊娠しやすい

「不妊ルーム」では開設当初から、基礎体温表と、
排卵日検査薬によるタイミング指導を行ってきました。

しばらく経ってある女性が「不妊ルーム」に来られ、
腹部超音波によって子宮・卵巣の検査を行っている最中に、
「こんな超音波だったら何十回やってもいい」
と言われたのがきっかけでした。

彼女は長い間、経膣超音波によるタイミング指導を行っていました。
生理が来て憂鬱になり、排卵が近づくと、
また卵胞チェックがあるかあるかと思うと、月に2回憂鬱になったそうです。

そこで私は、腹部超音波による卵胞チェックを開始したのです。
膀胱に十分な量を貯めて検査を行うと、
きれいに卵胞が確認できるという事は以前よりわかっていました。
これならば内診台のない内科的アプローチの当院の方針ともあっていました。

そして実際に開始してみると、私の予想以上にきれいに卵胞も見えましたし、
何よりも妊娠される方が増えていったのです。
腹部超音波による卵胞チェックは偶然の産物でした。
そして今日まで支持されて、検査を続けています。




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