「不妊ルーム」

Archive for 12月, 2017

不妊治療に疲れたら

「不妊ルーム」へカウンセリングに来られる方に、
「今まで本当に大変でしたね。ちょっとお疲れになったでしょう」
と言うと、目から涙を流される方もいます。

そうした方の今までの経過をじっくり聞くと、
本当に大変な思いをされているのです。

それで私は、「これまでの治療は一旦忘れてリセットしてみませんか? 
不妊治療を休んでみるのも不妊治療です」
といった提案をすることがしばしばあります。

私は相談にみえた方にシンパシーを示す一方で、
今後の妊娠への戦略を頭の中で考え、
そして私の意見を述べてみます。
いつもそんなことのくり返しなのです。

そういう女性は最後に、
「溜まっていた思いを吐き出すことができました。
また先生の話を聞いて、気持ちが楽になりました。
今日はとてもスッキリしました。」
と言って帰られます。
この仕事をやっていてよかったと思うのです。

http://www.komacli.com/

妊娠には「ウーマンケア」が大切

最近私は「ウーマンケア」と言うことを
皆さんにお伝えしています。
「ウーマンケア」ということを、
言い出したのには理由があります。

妊娠ということが気になり出すと、
そのことばかりに頭が行って、近視眼的な思考になりがちです。
しかしすべては、健康あってのことだと思うのです。

妊娠期間は1年にもなりませんが、
この期間中に女性の体重はどんどん増えていきます。
もしあなたに貧血があった場合、フラフラな体では、
妊娠を継続するのは難しいかもしれません。

出産の後は、子育というロングランの生活が始まります。
そのために何より大切なのは、あなた自身の健康だと思うのです。

また、最近になって、甲状腺の病気と妊娠の関係を
重要視する不妊の先生が増えています。
甲状腺の病気は、男性の何倍も女性が罹患しやすいのです。

ほかにも女性がかかりやすい病気がいくつもあります。
そしてそれらの大半は当院の内科のシステムを
使ってチェックすることができます。
私が最近、「ウーマンケア」を強調している理由です。

体外受精の「落とし穴」AMH

女性の卵巣機能の評価としては、以前よりFSH(卵胞刺激ホルモン)
というものが使われてきました。
FSHは、卵を育てるホルモンです。女性は加齢により、
卵子が老化してきますので、卵の育ちが悪くなってきます。
したがって、30代後半からFSHの値が上昇し始めるのです。

近年、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定が
不妊診療の現場で広く用いられるようになりました。
そして、AMHに関して困ったことが起こっているのです。

最近「不妊ルーム」に相談に来られる女性の口から、
「AMHの値が低いので、体外受精を急いだ方がよい」
「あなたは35歳ですが、AMHは40代半ばの女性の値ですから、
すぐに体外受精を行いましょう」などといった相談が、
急増するようになりました。
すなわち、「AMH低値→体外受精」が、顕著になってきているのです。

FSHとAMHの関係をわかりやすく言うと、
「FSHは卵巣機能の指標」であり、
「AMHは卵巣内の卵の数の指標」です。
「FSHは卵巣の質」の評価、「AMHは卵巣の卵の量」
の評価と考えてもよいでしょう。

では、AMHの値が低い→残された卵の数が少ない→体外受精と、
考えてよいのでしょうか? 
AMHは、確かに、卵巣の中に残されている卵の数の指標にはなります。
しかし、卵子の質に関しては、AMHの値からは、
何もわからないのです。

「不妊ルーム」に見える女性には、
「基礎体温が安定しないのです」と訴える方が、しばしばいます。

中には婦人科の実用書を持参されて、私の基礎体温表と、
この本のイラストの基礎体温はこんなに違いますと、
悩みを述べられた女性もいました。

しかしちょっと考えてみてください。
基礎体温は、通常2週間の低温期と、
2週間の高温期が交互に現れるわけですが、
毎日同じコンデションで測れるわけではありません。
人間の体ですから、血圧が生きている限り変動するように、
基礎体温も日々変動するのが、むしろ健全です。

言わんとしたいことは、あまり神経質になりすぎないことです。
高温期がガタガタしているなどと訴えられる方もいますが、
高温期がフラットになる基礎体温は、イラスト以外は存在しません。
多少なりともノコギリの歯のように
ギザギザした基礎体温表の方がむしろ健全だと考えましょう。

一般的に言って、低温期と高温期の平均が0.3℃以上あり、
高温期が10日間以上続くのであれば、
あまり神経質になる必要はないと思います。

日常とは、自分たちでは気づかないくらい
少しずつ変化していくものです。
そしてあるときふと、
日常の生活から笑い声や会話がなくなっていたり、
新婚時代には欠かさず飾っていた花が
なくなっていることに気づくということがあります。
生活というものは、肌と同じように、
うるおいを与える努力を怠ると、
カサついてしまうのかもしれません。

「最近、生活にうるおいを感じない……」と思ったら、
ちょっと手をとめて、家のなかを見渡してましょう。
「あ、こんなものがあったんだ」と発見があるかもしれません。
以前読もうと思って買っておいた本が、
本棚でほこりをかぶっていませんか。
蒔こうと思って取っておいた花の種、
整理しなければならない写真の束、
返事を出していない友人からの手紙、
はじめてご主人からプレゼントされたアクセサリー、
結婚記念日……。しばらく忘れていたものの再発見が、
あなたにひとときのうるおいを
与えてくれるのではないでしょうか。




「不妊ルーム」