「不妊ルーム」

Archive for 11月, 2017

ステップダウンも不妊治療!

現在の不妊治療は、登り道だけの
片道切符しか渡されないケースが多いのです。
しかし私は、不妊治療にも下り道(ステップダウン)があると思うのです。

体外受精まで進んだカップルが、
治療をやめたら自然妊娠したという話はあちこちから聞きます。
実際、体外受精などの高度生殖医療を行う医療機関での統計でも、
不妊外来受診者の75パーセントは
タイミング法による妊娠だったということです。

私がここで言いたいのは、不妊治療を受けていても、
自然妊娠の可能性、
あるいはより自然に近い妊娠の可能性を追求しようということです。
それはすなわち、不妊治療にはステップアップだけではなく、
ステップダウンもあるということです。

直角三角形の三角定規を思い出してください。
片方は急な坂道、もう一辺はなだらかな坂道です。
どうやら不妊治療は、険しいルートからの登山になることが多いようです。
反対に回ると、ハイキングのような感覚で、
頂上に行きつくこともあるのです。

ちなみに、「不妊ルーム」のフォローアップで妊娠されるカップルの
7割以上が不妊治療経験者です。

レッスン: 不妊治療をやすんでみるのも不妊治療

DHEAサプリメント(以下、DHEAサプリ)により、
「不妊ルーム」において、37歳以上の女性の妊娠率が、
約2割上昇したことを度々述べてきました。
このDHEAサプリの劇的な効果を証明するような症例を経験しましたので、
お話したいと思います。

Nさんが最初「不妊ルーム」に来院されたのは、32歳の時でした。
前医でタイミング法を行うも妊娠しないということで来院しました。
いろいろとホルモンチェックをしてみたところ、女性ホルモンの値が低いこと、
そして生理中のFSHが年齢の割に高いことがわかりました。
それで、念のためにDHEAの値を調べてみたところ、
”370 NG/ML”でした。これは、40代後半の女性の数値です。

それで、彼女にDHEAサプリの服用をすすめたのです。
服用から1ヶ月後のDHEAの値は、”2451 NG/ML”と、
20代の女性の値を示していました。DHEAサプリを服用すると多くの場合、
数値は改善してきます。
そして、それから1週間後に妊娠反応陽性となり、胎嚢確認も行えたのです。

2人目希望ということで再度来院されました。
2年前のことがありましたので、DHEAの値を調べてみたところ、
”390 NG/ML”。最初にみえたときと全く同じ状況でした。
彼女は、「低DHEA血症」という病名がつくような人なのでしょう。
それで、前回同様にDHEAサプリの服用をすすめました。
そして、DHEAの値を再度測定するつもりでいたのですが、
その前に妊娠反応陽性となったのです。

妊娠とサプリメントの微妙な関係

「亜鉛がいいから」とか、「葉酸サプリをとっています」、
などと言う方が「不妊ルーム」によく相談にお見えになります。

「葉酸不足は胎児に良い影響与えませんので摂取しましょう」
ということは、間違っていません。
たとえば、アメリカ、カナダでは、
シリアルに葉酸を含めることが義務づけられています。
食物から葉酸を摂取すれば、余分なものは排泄されます。

しかし、私は自己判断で、サプリメントを摂取することはお勧めしません。
そうした方の血液の葉酸や亜鉛の値を測ると、
基準値を超えている場合が少なくないのです。

サプリメントは平たく言えば、
”食物と薬の中間に位置するもの”だと思います。

「不妊ルーム」ではDHEAサプリを勧めることがよくあるのですが、
このサプリメントを勧める理由は、
何よりも採血によって血中濃度測定ができるからです。

葉酸、亜鉛なども血中濃度が測れるだけでなく、
値が低ければ、サプリメントではなく、
保険診療の薬として、低亜鉛血症にはノベルジン、
低葉酸血症にはフォリアミンというお薬を
処方することができるのです。
そうした場合、本人の自己負担もサプリよりはるかに少ないのです。

妊娠しやすい人になる!

「不妊ルーム」では、毎月10名前後の方が妊娠されますが、
妊娠にいたる方には特徴があることには、以前より気がついていました。
黄体機能不全がない人が、ある人より、基礎体温表がきれいな人が、
そうでない人より妊娠しやすいことは、だれでも理解できると思います。
また、夫婦の愛情が強く結ばれている方が、そうでないカップルより 
”妊娠力 ”が高いことも容易に想像できるでしょう。

しかし、そういったこととは別に、女性の側に
「妊娠しやすくなる心の持ち方」というのがあると、
私は「不妊ルーム」の経験から思うのです。
妊娠しなければ生理がやってきます。
この時、「また生理がきてしまった」と思ってしまうか、
「今月もまた、チャンスが来た!」と捉えるかによって、
妊娠しやすさは違ってくると、私は常々思っています

基礎体温表をいつも眺めて、妊娠のことばかり考えている生活は、
決して望ましいものではありません。
開き直りといったものが「妊娠」にポジティブに働くことは、
私のみならず、不妊治療を担当している先生方もしばしば口にしています。
あなたの周りにも、そういう話がないでしょうか?

こうしたことは、私の著書『新・妊娠レッスン』の中で、
「妊娠しやすい人、しにくい人」にも書きました。
ちょっと乱暴かもしれませんが、
「やることはやっているのだから、あとはなるようになる」
といった開き直りも、時として大切なのです。

「不妊ルーム」でも、「今月ダメだったら
不妊治療に進もうと思っていたら妊娠した」とか、
体外受精の決心してをして、医療機関へ紹介状を持って出向いたら、
その時に妊娠していた女性も稀ではありません。
妊娠は、”忘れた頃にやってくる”という側面もあります。

多くのかたは、子どもを望んで「不妊ルーム」に来院されます。
大変印象深いケースですけれども、非常に面白い方もおられるのです。
かなり前になりますけれども、
ある女性が「不妊ルーム」に相談にこられました。
ところがその女性は、椅子にすわると、
「私は子どもはいりません」と言うわけです。

それで私が不思議に思って、「子どもがいらないのになぜ、
「不妊ルーム」にくるのですか?」と聞きました。
彼女が言うには、「私は子どもは欲しくないんだけれども、
旦那が子ども、子どもってうるさいのです」というわけです。
それで、仕方なしに背中を押されて相談にきた。そういう話なんです。
それで、ご本人の検査、ご主人の精液検査を行いましたが、
何ら問題となる所見は出てきませんでした。

想像するに、”子どもは欲しくない”という気持ちが、
妊娠にネガティブに働いているのではなかろうかと、思ったわけです。
何も問題がないわけですから、2~3ヶ月で、
その方は妊娠反応陽性が出たわけです。
それで私が「あなたは妊娠していますよ」と言いますと、
返ってきた言葉が、「ああ、そうですか」
そして、その次に出てきた言葉が
「これで、フラメンコの稽古はお休みですね」とそういった次第でした。
いわゆる感慨とか、そういった様なものがまったく感じられなかったんです。

ところが、その女性というのは、当時クリニックから
そんなに遠くない所に住んでいらしたようで、2年くらい経って、
たまたまその女性を駅前で私は見かけたわけです。
そうすると、2年前とは全く別人になっているわけなんですね。
子どもが可愛くて、可愛くてしょうがないと。ちょっとでも歩くと、
すぐに追っかけて、「危ないでしょう、○○ちゃん」と言っている。
全く同じ人だと思えない。
そういった経験も「不妊ルーム」ではしています。




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