「不妊ルーム」

Archive for 10月, 2017

「スケジュールブック2018年」

スケジュールブックですが、私はこのノートが、
「不妊ルーム」通院者と私との
連絡帳になればいいなと思います。

私にはそんなによいアイデアがないのですが、
皆様の方から何か提案がありましたら
お教えいただけませんか。

このスケジュール帳は、製作会社のスタッフが
熊本地震からの復興策の一環として、
知恵を出し合って作ったそうです。
私も協力したいと思っています。

この手帳を手に取った人の中から、
最後の情報のページに、クレジットカードを紛失した場合の
連絡先が書いてあるのがとても良いという連絡を受けました。

いろいろな使い方があると思いますが、
皆様のお役に立てば幸いです。

二人目不妊の女性に想うこと

子供の一人目はすんなりとできたのに、二人目に苦労する場合、
通称として「二人目不妊」という言葉がしばしば用いられます。
このことをお話するには、何よりも私が
行っている「不妊ルーム」での経験をお話するのが一番良いと思います。

「不妊ルーム」を開設して5年ほど経った頃から、
一人目が当院でできた方が、二人目を希望して来られる、
という人がポツポツと出始め、それが年を追うごとに増加してきました。
最近では同じ人が再訪するということが、半ば当たり前になっています。

そして多くの場合、一人目は2~3ヶ月で授かった人でも、
二人目で苦戦をするという人がとても増えているのです。
何故そうなってしまうのでしょうか? 
それは少し掘り下げて考えてみれば、答えは容易に出てきます。

実は二人目で再訪される人は、一人目ができて4~5年経って
再度来院するというケースが、圧倒的に多いのです。
そうすると当然のことながら、一人目が30代半ばでできたのであれば、
二人目希望の場合は、40歳前後ということになってしまいます。
ここで”エイジングの壁”というものにぶつかってしまうのです。
そしてこうした人達は、判で押したように
「もっと早く来るべきだった」と言います。

しかし子供が一人産まれると、とてもじゃないが
二人目どころではなくなってしまうわけです。
そして子供がヨチヨチ歩きを始め、やがて保育園、
幼稚園などに通いだした頃に、二人目と考えることになるからです。

さらに「不妊ルーム」での特徴としては、一人目を授かる際に、
不妊治療を経験された人は、「もう二度と不妊治療はごめんです」
というようなことも判で押したように言います。
そして子供というのは、言葉を発して
自分の意志を親に伝えることができるようになると、
これもまた判で押したよう「兄弟が欲しい」と言うのです。
そしたことが「二人目不妊」という人達を増加させる要因になっています。

いずれにしても、2人目を考えるのであれば、
1人目とあまり間をあけないということは、
これからの妊娠を考えるカップルにとって、大切な知恵だと私は思います。

42歳で妊娠された女性の言葉

「不妊ルーム」は、開設してから数年の間、
フォローアップをする女性の年齢を40歳未満としていました。
それは、当時は内科医である私が、40歳以上の女性を、
妊娠という目的に向かってナビゲーションしていく
自信がなかったことも正直ありました。

その後、フォローアップを希望される女性が増えるにつれて、
また「不妊ルーム」もいろいろな工夫を行ったことによって、
妊娠は増えていきました。
それでも、年齢制限の撤廃にはなかなか踏み切れませんでした。
きっかけになったのは、ある女性の経験です。

かなり古い話になりますが、38歳で、二人目希望の方が見えました。
当時は、6ヶ月間フォローアップを行って妊娠に至らない場合、
不妊治療へのステップアップをすすめるということを基本にしていました。
それは、「不妊ルーム」で半年間フォローアップをして妊娠しない場合、
その後の妊娠率が低下することが経験的にわかってきたからです。

そして、彼女に不妊治療をすすめました。しかし、彼女はキッパリと、
「不妊治療を受けるつもりは一切ありません。
このままフォローアップをお願いします」ということでした。
どれだけ時間が経っても、彼女の姿勢は一貫していました。
そして、3年8ヶ月通院された結果、妊娠反応「陽性」が出たのです。
彼女は42歳になっていました。

彼女から、無事女の子を出産したというメールをいただきました。
そのメールの中に、「子供が欲しいと思う気持ちに年齢はありません。
どうか子どもを望むすべての女性を導いてください」
と書かれてあったのです。
このことがきっかけとなって、私は”年齢制限を撤廃”したのです。
その後、DHEAサプリメントなどが味方となり、
40歳以上の女性も安定的に妊娠されるようになりました。

 婦人科という診療科目の名称の拘束性のためか、
精液検査を全くおこなわないで女性のみの検索、
加療をすすめているというケースも多くみてきました。
現在、男性因子による不妊は年をおうごとに増加しており、
私が目からみてもほぼ不妊の原因は
男女半々ではないかと思えてくるほどです。

 女性因子の検索は、子宮因子、卵巣因子、卵管因子、
脳下垂体からのホルモンチェックなど多岐にわたりますが、
いろいろな検査をおこなっても、3割程度が
原因が特定できない機能性不妊という診断になってしまいます。

 一方、男性因子は精液検査を一度おこない、
異常がなければ男性側は異常なしということになります。
簡便であることを考えれば、
この検査をおこなわないというこは考えられません。
しかし、現実に全くおこなわれていないケースが本当に多いのです。

 私は、基礎体温が二層できれいであり、
精液検査において異常が認められず、
子宮卵管造影検査で通過性が確認されれば、
妊娠はあり得るという立場で考えます。
そして、これ以外の多岐にわたる検査について、
実は婦人科医の間でも意見の統一が
はかられていないというのが現状だと思います。

医療機関を利用するという立場で考えれば、
別に不妊治療に特化しているような医療機関を
選ぶ必要は私はないと思うのです。
むしろ、気楽に自分達の現状を確かめたいと思うのであれば、
総合病院などで男性が泌尿器科を受診して精液検査を受け、
女性が婦人科を受診し子宮卵管造影検査を受ける。
そして、ともに異常がないと確認されれば、
また半年ないし1年程度様子をみてみるというのも、
一つの選択肢だと私は思います。

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。
これは、不妊治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。
私がメールで不妊治療からリタイアすることをすすめたことに対して、
お礼を書いてきてくれたのです。

   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。

赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと
不妊治療に足を踏み入れ、身体的?神的苦痛を味わい、
経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、
どんなにがんばっても赤ちゃんに恵まれないカップルはいるのです。

不妊治療を続ければ続けるほど、
赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、
いつかは決断をしなくてはならないときもきます。

不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、
どうしても赤ちゃんができなければ、
赤ちゃんのいる生活がすべてではないと
割り切ることも必要になってきます。
不妊治療をこれから始めるという方は、
そのことも夫婦で確認し合うことがたいせつだと思います。




「不妊ルーム」