「不妊ルーム」

Archive for 5月, 2017

妊娠しやすい3つのポイント

私が「不妊ルーム」で、フォローアップを通してわかってきたことは、
「妊娠しやすい3つのポイント」があるということです。

1) 女性の年齢が若いこと
2) 不妊治療歴が浅いこと(もしくはないこと)
3) セックスの回数が多いこと

この3つが揃(そろ)っているカップルは、
不妊に関する大きな因子がなければ、
妊娠に至る確率がかなり高いと言えます。

まず、1)の年齢についてですが、
私のクリニックにカウンセリングで来院する女性の平均年齢は、
だいたい35~36歳くらいです。これは平均値ですので、
実際にはもっと若い方から40歳以上の方までいます。
こうして幅広い年代の患者さんをみていると、
やはり20代の患者さんのほうが、
フォローアップを開始してから妊娠するまでの期間が短い傾向があります。
また、若い人ほど、基礎体温表と排卵日検査薬を上手に活用するだけで、
妊娠できるケースが多いのも事実です。

次に2)の「不妊治療歴が浅いこと(もしくはないこと)」。
このことは、いろいろな薬が使用されていないので、
体がホルモンバランスの点から柔軟性があるということを意味しています。
と同時に、頭の方にも柔軟性がある場合が多いということも意味しています。
たとえ不妊治療歴が長くても、その精神状態をリセットして、
本来の「妊娠力」を取り戻せればよいわけですから、
例えば自分がかなりの間不妊治療をおこなってきたからといって、
がっかりする必要はありません。

そして、3)のセックスの回数が多いほうが
妊娠しやすいというのはごく当然のことなのですが、
意外とそのことには目を向けられていないと思います。
とくに不妊治療をしているカップルは、
排卵の日に的をしぼってセックスをし、その日以外は、
ムダな行為と考えてしまう傾向があります。
しかし、それは大きな思い違いです。
排卵前後のセックスでも、妊娠はあり得ますし、
なによりも、なんのためにセックスをするのか、
原点に立ち返って考えてみましょう。

不妊治療を試してみる

医者にかかることを受診といいます。
もうここに”受ける”と言う字が入っていることからも分かるように、
受け身の姿勢になってしまうわけです。

ここは発想を変えて、不妊治療を試してみると言う気持ちで
取り組んでみたらどうでしょうか。
ずっと気持ちが薬になると思いませんか。

しかしそのためには、試してみる側にもある程度のリテラシーがないと、
その医療がどの程度のものか実感することは難しいと思います。

そのための情報をこのブログなどで提供していきたいと思っているのですが
例えば子宮卵管造影検査の設備があるかどうか、
医師の説明が納得できるものであるのかどうか、
体外受精を行っているのであれば培養士が何人いるのか、
などはとても重要なチェックポイントになると思います。

そしてあなたがもしもその医療機関とそりが合わないと思えば、
リテラシーと情報を駆使して、よりあなたに合った医療機関を
探せばいいだけのことだと思います。

こうしたリテラシーを持って医療機関を利用することは
ドクターショッピングなどとはまったく違うことなのです。

ステップダウンも不妊治療!

現在の不妊治療は、登り道だけの
片道切符しか渡されないケースが多いのです。
しかし私は、不妊治療にも下り道(ステップダウン)があると思うのです。
そこで重要になってくるのが、セカンドオピニオンという考え方です。

セカンドオピニオンとは、簡単にいえば、
現在受けている治療について、納得できな点や、
自分だけでは判断できないことがあったとき、
別の医師の判断を仰ぐということです。
たとえば、主治医に体外受精を進められたとします。
そのとき、別の医師は、「体外受精に進む前に、
腹腔鏡検査をつぎに考えてみてください」
という意見を述べるかもしれません。
これらの意見を参考にしながら、
最終的に患者さんが治療方針を選択するわけです。

体外受精まで進んだカップルが、
治療をやめたら自然妊娠したという話はあちこちから聞きます。
実際、体外受精などの高度生殖医療を行う医療機関での統計でも、
不妊外来受診者の75パーセントは
タイミング法による妊娠だったということです。

私がここで言いたいのは、不妊治療を受けていても、
自然妊娠の可能性、
あるいはより自然に近い妊娠の可能性を追求しようということです。
それはすなわち、不妊治療にはステップアップだけではなく、
ステップダウンもあるということです。

直角三角形の三角定規を思い出してください。
片方は急な坂道、もう一辺はなだらかな坂道です。
どうやら不妊治療は、険しいルートからの登山になることが多いようです。
反対に回ると、ハイキングのような感覚で、
頂上に行きつくこともあるのです。

二人目不妊はなぜ多い?

二人目不妊のカップルがとても増えています。
二人目不妊においても器質的な問題が、
一人目を出産した後にも生じ得ますから、
一通りのスクリーニングの検査をすることは意味のあることです。
しかし、もし特定の原因が見いだせないのであれば、
不妊治療だけに期待するのではなく、二人のこれまでを振り返り、
生活を見直してみることで、
手がかりを見いだすことができる場合も多いのです。
二人目不妊を克服するカギが、
セックスに「新鮮さ」を見いだすことだったりします。

不妊治療の現状において、一人目不妊、二人目不妊を問わず、
女性の年齢が35歳以上であった場合、
非常に短い期間で体外受精に誘導されるケースが、
目立って多くなってきています。
私のこれまでの不妊相談の経験から、二人目不妊に対しては、
高度生殖医療は、あまり考えてほしくないと思っています。

第一の理由は、何よりもその医療費が
膨大であるということがあげられます。
そして、二人目不妊であっても高度生殖医療の妊娠率は、
年齢とともに低下していきますから、
二人目のお子さんを授かる確率も低くなっていきます。

子供は小さい時はとても手間がかかりますが、
親の手がかからなくなってくるころから、
今度はお金がかかるようになってきます。
体外受精という大きな医療費を投資した場合、
今いるお子さんに将来そのツケが回ってこないのか心配するのです。
ですから、二人目不妊も含め不妊治療は、
ファミリー・プランニングとしてではなく、
ライフ・プランニングと位置づけてほしいと思います。

最近の新しい知見として、甲状腺ホルモンのコントロールを精密に行うと、
妊娠率が上がることが注目されています。

ここではそのメカニズムをちょっと考えてみます。
甲状腺ホルモンは、”元気の源ホルモン”と言われるように、
人間のアクティビティーを高める作用があります。

バセドウ病という名前を聞いたことがあると思いますが、
この病気は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
その結果、運動もしていないのに汗をかいたり、
動悸がしたりといった症状が現れます。
ですからバセドウ病の患者さんでは、
甲状腺ホルモンを抑えるような薬を使います。

一方甲状腺ホルモン分泌が少ない甲状腺機能低下症のような状態では、
女性の卵子の成熟がうまくいかないことがわかってきました。
甲状腺ホルモンが充分に満たされている状態が好ましいのです。

実際の診療では、甲状腺ホルモンとともに、
脳下垂体-視床下部から分泌される
TSH(甲状腺刺激ホルモン)ンの値を指標にします。
このTSHを厳格にコントロールすることが妊娠への近道なのです。

実際「不妊ルーム」でも、甲状腺ホルモン製剤を用いて、
甲状腺ホルモンコントロールするようになってから、
妊娠される方が増えてきました。




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