「不妊ルーム」

Archive for 4月, 2017

27歳の女性が「不妊ルーム」で妊娠されました。
妊娠されたことは、とても嬉しいのですが、
彼女のこれまでの治療に関して、疑問をもってしまうのです。

彼女には、特に妊娠に関する問題はなく、年齢もとても若い方です。
妊娠に至らなかったのは、男性に乏精子症が認められたからです。
しかし精子の数は、極端に低いものではありませんでした。
人工授精で妊娠してもおかしくなかったのではないか、と思っています。

しかしこの方に限らず、最近の不妊治療の傾向として、
女性の年齢、AMHの値、男性因子等を理由に、短期間に、
あるいはこの方のように、人工授精を飛ばして、
体外受精に誘導されるケースが顕著に増えています。

それで彼女は、体外受精を3回おこなったのですが、
妊娠に至りませんでした。
こうした場合、私はやはりその医療機関の体外受精の医療水準、
とりわけ培養士の技術を疑ってしまいます。

私はよく通院されている方に行っているのですが、
体外受精はどこで行うかが全てを決めてしまいます。
また、ホームページ上の情報は、あてにならないと考えてください。

そして、体外受精の医療費は、医療機関によって、
1回あたり、30万円~120万円と、大きな幅があります。
金額と医療機関の実力には、相関関係はありません。
ですから私は、体外受精を考えている方は、
”体外受精を受ける前に相談に来てほしい!”
と切に願っているのです。

男性因子の場合は、ほとんど治療がなされないケースが多いのですが、
「不妊ルーム」では、漢方薬、局所循環剤の内服によって、
この方のように妊娠に至ることは、よくあります。

「不妊ルーム」という、自然妊娠と不妊治療の間のベースキャンプでも、
妊娠を期待できるカップルは多いのです。
何度も繰り返し言うのですが、不妊治療だけが妊娠に至る道ではありません。

サプリメントとどうつきあうか

「葉酸サプリがいいよと友人から勧められましたが、
先生はどう思いますか?」
と尋ねられたことがあります。

確かに色々なサプリメントが出回っているわけですが、
当院ではDHEAサプリをすすめることがあります。
この場合でも、私はあくまで西洋医学的な見地から
採血を行い血液の中のDHEAの値が低いことを確認してから、
DHEAサプリの摂取を勧めるようにしています。

葉酸も同様で、採血で血液の中の葉酸値を測ることができます。
低葉酸血症と診断された場合、サプリメントを摂取しなくても、
薬としてフォリアミンという薬があるのです。
もちろん診断がつけば健康保険が適用されますから、
本人負担も少なくてすみます。
そして、医学的に判断できないサプリメントはお勧めしません。

サプリメントと言うのもただ万全と摂取するのではなく、
あくまでも科学的根拠に基づいて摂取したいものです。

45歳で妊娠の二人の女性

45歳の女性が2名、続いて妊娠されたことがありました。
1人の方は、「不妊ルーム」でのフォローアップで、
もうひと方は、紹介状を書いた医療機関で体外受精を受けての妊娠でした。
妊娠に至ったいきさつは、対照的なように見えます。

しかしこの2人の女性は、年齢以外にも共通点があるのです。
おふた方とも当院の漢方薬を服用し、
DHEAサプリメントのコントロールを行っていたということです。

体外受精にエントリーともなると、医師の指示に100%従わざるをえない、
と考える人もいるかもしれません。
しかし、私のこれまでの経験から、体外受精を受けるにしても、
漢方薬というファンデーションがあった方が、
妊娠に至りやすいという印象を持っています。
実際?のような形で妊娠される方が多いのです。
また血中のDHEAの濃度も、良好な値をキープすることが、
体外受精を成功させる秘訣だという印象も持っています。

拙著『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)では、
「Yの字思考」というものを紹介しています。
「不妊ルーム」のフォローアップで妊娠された方は、
「体外受精はまったく考えていません」ということでした。
もうおひとりは、年齢から、早期のジャンプアップを希望されました。
ですから、この2人が進んだ道は、
まさにYの字のように結果的には広がりました。

しかし、Yという字は、根本は1つなのです。
すなわち、そこには漢方薬があり、
DHEAサプリメントがあったということです。

多くのかたは、子どもを望んで「不妊ルーム」に来院されます。
大変印象深いケースですけれども、非常に面白い方もおられるのです。
かなり前になりますけれども、
ある女性が「不妊ルーム」に相談にこられました。
ところがその女性は、椅子にすわると、
「私は子どもはいりません」と言うわけです。

それで私が不思議に思って、「子どもがいらないのになぜ、
「不妊ルーム」にくるのですか?」と聞きました。
彼女が言うには、「私は子どもは欲しくないんだけれども、
旦那が子ども、子どもってうるさいのです」というわけです。
それで、仕方なしに背中を押されて相談にきた。そういう話なんです。
それで、ご本人の検査、ご主人の精液検査を行いましたが、
何ら問題となる所見は出てきませんでした。

想像するに、”子どもは欲しくない”という気持ちが、
妊娠にネガティブに働いているのではなかろうかと思ったわけです。
何も問題がないわけですから、2~3ヶ月で、
その方は妊娠反応陽性が出たわけです。
それで私が「あなたは妊娠していますよ」と言いますと、
返ってきた言葉が、「ああ、そうですか」
そして、その次に出てきた言葉が
「これで、フラメンコの稽古はお休みですね」とそういった次第でした。
いわゆる感慨とか、そういった様なものがまったく感じられなかったんです。

ところが、その女性というのは、当時クリニックから
そんなに遠くない所に住んでいらしたようで、2年くらい経って、
たまたまその女性を駅前で私は見かけたわけです。
そうすると、2年前とは全く別人になっているわけなんですね。
子どもが可愛くて、可愛くてしょうがないと。ちょっとでも歩くと、
すぐに追っかけて、「危ないでしょう、○○ちゃん」と言っている。
全く同じ人だと思えない。
そういった経験も「不妊ルーム」ではしています。

子どもができないなと思った場合、とりあえず家の近所、
職場の近くの婦人科をノックすると言うのは、
ごく自然なアクションなのかもしれません。
しかしここには2つの大きな落とし穴があると思います。

その落とし穴の1つは、婦人科の先生の中には、
不妊治療に関してはあまり詳しくないにもかかわらず、
治療をおこなっている医師が意外と多いと言うことです。

こうしたドクターに限って、
「赤ちゃんができやすくなる注射です」
「排卵をより確実にする注射です」などと言って、
hCG注射が行われているケースをたくさん見てきました。

hCGは、確かに排卵を誘発する作用がありますが、
遺残卵胞と言う邪魔になる卵胞をたくさん残してしまう問題もありますので、
できれば避けたい注射でもあります。

もう一つの問題点は、多くの婦人科クリニック、
レディースクリニックには、子宮卵管造影検査の設備がないことです。
子宮卵管造影検査は、不妊症の最も大切な検査の1つですから、
まず卵管造影検査の設備があることを確認してから、
不妊治療のドアをノックしていただきたいと思います。




「不妊ルーム」