医療では、EBM(科学的根拠に基づく医療:Evidence-Based Medicine)
による医療を実践しようといわれて久しくなりました。
確かに医療は、医学という科学の実践ですから、
EBMは受け入れやすいと思います。

しかし、これに違和感を唱える医師もいないではありません。
多少、声をひそめて話すという傾向はあるようですが、
少し前に、医療関係の雑誌で、ひとりの老医師のエッセイのフレーズが、
私の頭の中に残っています。

 「ある病気に対して、この薬は95%の有効性が
EBM的に確認されているといわれた場合、
『私の患者にその薬を投与して、残りの5%になってしまったらどうしよう』
と思うのが、医師というものの心情ではないか」

 また、最近手にしたある大学の学内情報誌で、
ある教授(産婦人科だったと記憶していますが)が、
「自分がこれまで数十年間に築き上げてきた医師としての経験から出した答えと、
EBM的に得られる答えが対立した場合、
EBMは自分の答えを超えるのか、疑問を感じることがある」
といった主旨のことを述べていました。

 これが、不妊ともなると、EBMによる「死角」は大きく、
見落とされるものが多々あります。
例えば、排卵前に経膣超音波検査で卵胞チェックをおこなうのは、EBMです。
しかし、これを繰り返すと、カップルの多くは、
ピンポイント・セックスになります。
これでは、不妊をますます悪化させないでしょうか? 
私はこういう状態を、「不妊治療不妊」と言っていますが、
うなずかれる女性も多いと思います。


「不妊ルーム」

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