「不妊ルーム」

Archive for 10月, 2016

思い込み症候群にご用心!

精液検査を1回受けて結果が悪いと、
自分は男性機能が劣っているのだと思い込んでしまう方がいます。
こういう方は、再検査を受けることをおすすめします。
精液検査は、体調や採取の状況によって大きく変動するのです。

女性も黄体ホルモンの検査で値が低いと、
自分は黄体機能不全と思い込んでしまう方がいます。
黄体ホルモンの値も生理周期とのかねあいで大きく変動します。
この場合も、検査を受けた医療機関の医師に
再検査をお願いしてみましょう。

ある医療機関で、片方の卵管が閉塞し、
もう片方も通りが悪いといわれた患者さんがいました。
その方は、自分たちには自然妊娠はありえないと思い込んで、
別の不妊クリニックで体外受精を4回受けましたが、
妊娠には至りませんでした。

体外受精を受けた医療機関には、
子宮卵管造影の設備がありませんでした。
私は再度、卵管の通過性を確認するため、
子宮卵管造影の設備のある医療機関に検査を依頼しました。
その結果、卵管の通過性に問題がないことが分かりました。

それから2か月後、この女性は妊娠したのです。
この方も通常の自然妊娠はのぞめないと、
セックスレスに近い状態でした。
卵管の通過性に問題がないとわかったことで、
妊娠へのモチベーションが高くなったのだろうと思います。
そして、ホルモンバランスもよくなったのかもしれません。

「不妊ルーム」へ相談にお見えになる女性は、
漢方薬を希望される方がとても多いのです。
そうした方々がよく口にするのは、
「体質を改善したいので、漢方薬をお願いします。」とか、
「妊娠しやすい体質になる漢方薬をお願いできませんか?」
などと言われます。

要するに漢方薬というのは、体質を改善する薬だと、
多くの人が認識しているようです。
あくまでも妊娠に限ってのことですが、
私はこの”体質改善”というのは、
少しニュアンスが違うのかなという印象を持っています。

私は男性ですから化粧はしませんが、漢方薬というのは、
化粧品でいうなら、ファンデーションに相当するのではないか、
そういう印象をもっているのです。
体質を変えるというよりは、土台を作るといったイメージなのです。

「不妊ルーム」では、漢方薬の服用だけで妊娠する人は、
とてもたくさんいます。
そして、その漢方薬というファンデーションに、排卵誘発剤、
黄体ホルモン製剤などの投与が、
いわば口紅やアイシャドーのような役割を果たして、
目元・口元にインパクトを与える、
そういったイメージを私は持っているのです。
ですから、「漢方薬+クロミッド」で妊娠される方も多いです。

誰でも、自分の作品を褒められるのは嬉しいものですし、
ネガティブに評価されれば悲しくなります。

私の本『35歳からの妊娠スタイル』でも、
いろいろな感想メールをいただいております。
幸いなことに、そのほとんどが「おもしろかったです」
「一気に読めました」などといったものが多いのです。
そして、本の内容を具体的に評価されると、
とても報われたような気持ちになります。

「不妊ルーム」に通院されている方で、
「抽選器の話が大変良かったです。
あそこを読んで、AMH(抗ミュラー管ホルモン)のことが
本当によく理解できました」と述べてくれた方がいました。
私は、そのコメントをとてもうれしく思いました。
それは、AMHという難しい医学用語を、
どのように多くの人々にわかりやすく説明するか、苦心したからです。

ある日、家電品量販店の店頭で、抽選器で賞品を渡している光景を、
私はたまたま目にしました。
そして、「抽選器で卵子のエイジングとAMHの関係を
説明できるのではないか!」と、閃いたのです。
また、「体外受精における排卵誘発を
まぐろ漁の例え話だわかりやすかったです」
と、述べてくれた方もいました。

こちらが苦労したところを指摘してもらえるのは、本当に嬉しいものです。
もちろん、一人の人間が書いていることですから、
内容には反発もあるでしょうし、
100%受け入れられるとも私は思っていません。
本を出すたびに、不安と期待が交錯します。
幸い『35歳からの妊娠スタイル』が、
好意的に受け入れられているようでなによりです。

結婚と不妊の微妙な関係

「結婚すると不妊になります!」
そう言うと、ビックリする人も多いと思います。
しかし、あながちウソではないのです。
その理由を考えてみましょう。

一般的には1年以上妊娠に至らない状態を不妊といい、
挙児を希望して患者さんが診療に来た時点で
不妊症と使い分けることが多いようです。
そして、私の周りを見回しても、
不妊治療を止めたら妊娠したという方が多くいます。
皆さまの周りにもそうした人がいると思います。
なぜでしょうか?

二年の交際期間を経て結婚、その後二年間妊娠しない
(計四年不妊)ため医療機関を受診したカップルをAとします。
そして見合い結婚し、その後二年で医療機関を
受診したカップルをBとします。
ポイントは、いまのカップルは婚前交渉が当たり前で、
”結婚が性交渉が減少するきっかけ”になっているのです。

ですから、医療機関を受診する時点では、
Aさん夫婦とBさん夫婦とでは、
「不妊」の意味合いがまったく異なっているのです。
しかし、どちらの夫婦も医療機関を受診すれば
「不妊症」ということになります。

「結婚すると不妊になる!」というのも、
あながち間違っていないと、
わかっていただけるのではないでしょうか。
ですから解決策は、医療機関より
自分たちにあることも多いのです。

体外授精の妊娠率の実際

 日本産科婦人科学会の統計から読みとると、
体外受精という治療1回当たりの妊娠率は22.1%。
そして、最終的に赤ちゃんを抱いて帰れる生産率は15.1%。
すなわち、体外受精にエントリーしても、
7人に1人しか出産にいたっていないというのが厳粛な事実です。

 体外受精における妊娠率が、HP上に医療機関が
アップロードしている情報や、妊娠率と生産率の間に
これほど大きな開きがあるのは、
一つは妊娠の判定そのものが曖昧だからです。
そして、体外受精で妊娠に至っても、
自然妊娠に比べると流産をする確率も高いというのも事実です

 年を追うごとに体外受精によって産まれてくる子供数は増加していますが、
これらは体外受精にエントリーしている人が
増え続けていることの反映であり、
妊娠率そのものはここ10年ほぼ横ばいといって間違いありません。

 平均値が22.1%ですから、当然それより成績の良い施設、
そうでない施設が存在するわけですが、
体外受精での妊娠率が5割や6割
などということは絶対にあり得ません。
ホームページ上などで多く見かける数字に私は首をかしげますが、
皆さん方はそうしたことを
事実として知っておいていただきたいと思います。




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