Archive for 7月, 2016

 子宮卵管造影検査は、不妊の原因を調べる3つ検査のうちのひとつです。
この検査は、子宮の内部のかたちの異常と、卵管の通過性を調べるもので、
卵管と卵巣の癒着も調べることができます。
もし、両方の卵巣が閉塞していれば、通常の夫婦生活はもちろんのこと、
人工授精を行っても妊娠することはできません。

 また、子宮のなかに壁ができて、子宮が二分されている双角子宮も、
程度によりますが、妊娠が困難な場合があります。
そういうことを診断するために行われる検査です。

 子宮卵管造影検査は、子宮口からカテーテルという細い管を子宮の中に入れて、
造影剤(油性と水性がある)を注入し、レントゲン写真を撮ります。
卵管は長さが約10センチ、直径は細いところで1ミリです。
その細いところに造影剤を注入するので、
卵管が詰まっていれば造影剤は流れ込めないため、
レントゲン写真にその先が写ってきません。
そこで、異常が発見されるのです。

不妊治療不妊をご存じですか?

妊娠を期待して不妊治療をおこなったにもかかわらず、
その不妊治療をやめたら妊娠する。
皆さんの周りにも、そういった人の心当たりが、
1人や2人おられるのではないでしょうか? 
そういうカップルが私のまわりにも多かったのです。

それで、何故だろうと考えました。私の経験も含めて想像するに、
不妊治療が、不妊にさらにストレスをかけているにちがいない。
それが結果的に、夫婦の状況までも悪くしているのではないか? 
不妊治療をやめたということは、
そういうストレスから解放されるわけです。
そのことによって妊娠に至っているのだろうと思ったのです。

不妊治療をおこなうことによって、
かえって状況が悪くなるような状況が、「不妊治療不妊」。
これは私の造語です。そして、ホームページにアップしたのです。
そうすると、「まさにその通りだ」というメールが、
たくさん私のところに届いたのです。

不妊治療がさらに不妊のストレスになるのであれば、
自分にもできることがあるのではないか、
そういうふうに私は考えました。
それで、クリニックのホームページに
「不妊でお悩みの方へ」という1ページを置いたわけです。
それが、「不妊ルーム」の原点です。

実際リアクションがあって、相談に来られる方がポツポツ現れたのです。
しかし、最初のうちは、私は内科医ですから、
治療的なことは考えてはいなかったのです。それで、相談を受けると、
「あなたは何々先生がいいでしょう」
「あなたはこうした方がいいでしょう」
「あなたはまだ不妊治療の必要性は無く、自然妊娠の可能性はありますよ」と、
そういうアドバイスをしていました。
責任というのゲタは自分の方に置かなかったのですから、
そんなに気の重い仕事ではありませんでした。
すくなくとも最初の頃は、、、。

世の中には、子供の虐待や、ネグレクト(育児放棄)
などといったニュースが、毎日のように報道されています。
その一方で、子どもに恵まれないカップルがたくさんいます。

「不妊ルーム」に来られる方は、不妊治療でつらい経験されていたり、
子どもを授かることに、つまづきを感じておられる方が大半です。
私はいつも思うのですが、そうしたハードルを乗り越えて
子どもを授かった場合、つきあって、結婚して、
ごく自然に子どもができたカップルより、
より愛着をもって子育てができるのではないかと、、、。

ですから、私は、『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)の
エピローグに、そうした女性のメールを挿入したのです。

『35歳からの妊娠スタイル』エピローグから

 ひとりでも多くの女性が、私に下記のメールをくれた
 お母さんのようになってもらえるようにと心から祈ります。

 夜泣きで1時間おきに起こされたり…生活が大きく変わりました。

 欲しくて欲しくてやっとの思いで授かった子です。
 大変なのは今だけ…と。

 私は授乳時、いつも同じ言葉を繰り返し息子に語っています。

 どうか、心身共に健康で明るく素直に育ちますように。
 息子の人生が人に恵まれた人生となりますように。
 いつか…心の優しい女性と出会い、
 温かい家庭を築くことができますようにと。

妊娠より大切なこと

「不妊ルーム」を訪れる皆さんは、妊娠を目的として来られます。
ですから私は全力を挙げて、一日でも早く妊娠していただけるよう
日々努力しています。

しかし「不妊ルーム」では、ただ妊娠すればよいと考えていません。
何事も健康あってのことだと思っているのです。
最近、「ウーマンケア」ということに力を入れています。
「ウーマンケア」の目的は、健康な体で妊娠しましょうということです。

最近日本では、30~40代女性の乳がんが急増しています。
これには食生活の欧米化が密接に関係しているといわれています。
ですから当院では、超音波による乳がんチェックに力を入れています。
超音波検査であればマンモグラフィーのように放射線被曝がありません。
また、30~40代女性では、マンモグラフィーより、
超音波検査のほうが、乳がんの検出率が高いのです。

注意しておきたいのは、女性に乳ガンがあった場合、
その後妊娠すると、確実に乳ガンが成長してしまいます。
それは妊娠によって、女性ホルモン、黄体ホルモンの分泌がアップし、
こうしたホルモンは、乳ガンに促進的に働いてしまうからです。
ですから妊娠された方には、必ず乳がんチェックを勧めています。

さらに女性は毎月生理がありますから、鉄欠乏性貧血と
隣り合わせの生活をしているといっても過言ではありません。
また、貧血でふらふらな体では、妊娠が継続するか心配です。
ですから貧血のケアにも力を入れています。

その他、ピロリ菌検査も最近注目しています。
ピロリ菌と胃ガンとの因果関係をWHOが認定しました。
ですから胃ガンの家族歴がある方、本人希望の方には、
ピロリ菌検査をおこなっています。

妊娠が頭の中にあると、他のことがついつい忘れてしまいがちです。
しかし、何事も健康あってのことなのですから、
皆様方も積極的に身体のセルフチェックに気を配ってください。

人工授精の憂鬱

「不妊ルーム」では、毎日いろいろな方々の相談を受けています。
そうした中でも、医療費が高額な体外受精に関する相談は、
深刻さがあります。一方、人工授精を受けている女性の相談には、
ある種の憂鬱さがあります。

それは人工授精1回当たりの妊娠率が5%~8%と、
とても低いことに起因していると思うのです。
「不妊ルーム」では、これまでに人工授精を、
20回~30回経験したという方の相談も、ときどき受けます。

人工授精を何回も受けたことがある方ならおわかりになると思いますが、
最初の2,3回は、「妊娠できるのではないか?」と期待します。
しかしこれが5,6回ともなると、気持ちが惰性的になってしまうのです。
そして人工授精が、10回を越えたあたりからは、
「妊娠なんてかすりもしない」「妊娠は別世界のこと」と、
思えてくるとおっしゃいます。

不妊治療医の中には、「人工授精で妊娠する人は3回までに妊娠する」
とか、「人工授精で妊娠する人は、タイミング法でも妊娠できる」
という言い方をする医師もいます。

人工授精を何回も経験した方の相談や、
不妊治療の医師の意見などを聞いているうちに、
私は人工授精をスルーする=”ジャンプアップ ”ということもありだと、
考えるようになったのです。

不妊治療は、人工授精から健康保険適用外の自由診療となります。
自由診療は、医師の裁量権が大きくなりますが、
そうであれば、患者サイドの意志も、
より大きく反映されていいと思うのです。
その意味からも、患者ではなく、 
”消費者 ”という自覚を持つことがとても大切だと思うのです。