「不妊ルーム」

Archive for 7月, 2016

世の中には、子供の虐待や、ネグレクト(育児放棄)
などといったニュースが、毎日のように報道されています。
その一方で、子どもに恵まれないカップルがたくさんいます。

「不妊ルーム」に来られる方は、不妊治療でつらい経験されていたり、
子どもを授かることに、つまづきを感じておられる方が大半です。
私はいつも思うのですが、そうしたハードルを乗り越えて
子どもを授かった場合、つきあって、結婚して、
ごく自然に子どもができたカップルより、
より愛着をもって子育てができるのではないかと、、、。

ですから、私は、『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)の
エピローグに、そうした女性のメールを挿入したのです。

『35歳からの妊娠スタイル』エピローグから

 ひとりでも多くの女性が、私に下記のメールをくれた
 お母さんのようになってもらえるようにと心から祈ります。

 夜泣きで1時間おきに起こされたり…生活が大きく変わりました。

 欲しくて欲しくてやっとの思いで授かった子です。
 大変なのは今だけ…と。

 私は授乳時、いつも同じ言葉を繰り返し息子に語っています。

 どうか、心身共に健康で明るく素直に育ちますように。
 息子の人生が人に恵まれた人生となりますように。
 いつか…心の優しい女性と出会い、
 温かい家庭を築くことができますようにと。

妊娠に対する男女間の温度差

赤ちゃんを望んでいるのに、なかなか妊娠できないという状態は、
夫婦どちらにとってもストレスを感じるものです。
ましてや不妊治療を受けるとなると、
ふたりの上には相当強いストレスがのしかかってきます。

「不妊は夫婦二人の問題ですから夫婦二人で取り組みましょう」と、
よく耳にします。正論のように聞こえます。
しかしながら不妊治療はその実際において、
検査や治療のほとんどを女性が受けなければならない、
極めて女性の負担の多い医療なのです。
こうした現状の下、不妊治療の現場は、
「女性が母性を獲得するための戦場」と化しています。

こうした現実に男性側の理解が十分でないと、
不妊治療を継続していく過程で、
男女間の温度差を生むことになっていきます。
そして時間の経過とともに、セックスの回数が減少し、
容易にセックスレスへとつながっていきます。

男性側の立場に立ってみれば、今まではお互いに
「ただのセックス」「楽しいセックス」だったのが、
ある時点から、目的至上主義的なセックスを求められます。
「今日はダメだけど、3日後には絶対してね」というふうになりがちです。
男性側に不妊治療に関する知識がないほど、
奥さんの目つきが今までと違うことにうろたえ、
セックスに対して腰がひけてしまうということになりがちです。
男性側に正しい理解がないからこそ起こるすれ違いと言えるでしょう。

35歳から母親になる

数年前に「出産」を特集した雑誌で、
25歳、30歳、35歳、40歳で
それぞれ母親になった女性のコメントを見たことがありました。

それぞれの事情があって、それぞれの年齢で、
出産したのだと思いますが、その4人から、
異口同音に出てきたのが、「一番良いタイミングで母親になれた」
という言葉でした。
もっとも人はそのように思い込みたい、
という気持ちもあるのかもしれませんが、、、。
ですから、35歳以上の出産には、
色々なメリットもあると思うのです。

人生の経験値の高い女性の場合、妊娠も、
みずから望んだ時期に至っていることが多いと思うのです。
そうであれば、例えば「できちゃった婚」のように
オロオロすることもあまりないでしょう。
また、これくらいの年代であれば、女性が働いている場合、
ご主人の収入も含め、経済面でも、ゆとりを持った出産、
育児に望めるという利点があると思います。

もっとも母親になればなったで、はじめてのことで、
わからないことだらけですから、オロオロするかもしれません。
しかし、あなたの周りを見回してみれば、
すでに母親になっている友達や、女性が沢山いるわけですから、
こうした、先輩ママ達からアドバイスがもらえるのも
メリットの一つでしょう。
すでに、経験した人のアドバイスというのは、
本に書いてあることや、お医者さんの言うことより、
実感を持って受け止めることができるものです。

たしかに体力面では20代の女性にはかなわないかもしれませんが、
そうしたことは、「智恵」と「人生経験」で
充分乗り切っていけると思います。
そのためには、何より、妊娠前から、
妊娠、出産、そして長い子育てに耐えうる
健康な「身体」をつくっておくことが大切です。

二人目不妊のケースの多くが、体外受精を必要としないことは
『新・妊娠レッスン』(主婦と生活社)の中でもお話ししました。
二人目不妊の場合が、セックスの回数不足によることも大きく、
排卵日検査薬を使ったタイミング法のみで妊娠する本当にケースは多くあります。
しかし、年齢的な問題や、器質的な問題で、
体外受精を視野に入れなければならないケースがあるのも事実です。

二人目不妊の場合はファミリープランニングではなくライフプランニング、
とくに経済的事情もよく考えてください。
子供は小さいうちは、手間はかかりますが、お金はそんなにかかりません。
そして、成長して手間がかからなくなってくると、
今度はお金がかかるようになってくるのです。
体外受精の医療費が将来その子につけが回ってこないともかぎらないのです。

体外受精を希望するならが、一人目の不妊の方にもまして、
経済的なプランを厳しくすることが大事です。
もしも赤ちゃんが授からなかった場合、もう一回、もう一回と
無計画に治療を引き伸ばすことだけは避けてほしいと思います。

体外受精の医療費を考える

たとえばあなたが仕事持つ女性だとしたら、
もらったら給与には必ず明細があるはずです。
また、家を建てる場合であれば、詳細な見積書があるはずです。
しかし、体外受精に関しては、妊娠してもしなくても1回40~80万で、
これは固定だという医療機関があります。これは少しおかしな話です。

最近になって、成功報酬制を導入する医療機関が出始めました。
成功報酬制とは、うまくいったプロセスに課金するというシステムです。
胚移植までいかなければ採卵までという考えです。
一般常識からいうと、これは妥当な考え方ではないでしょうか。

体外受精の医療費について、微細な明細がないような医療機関は問題で、
もし提示がなければ、受ける側から明細を求めましょう。
その明細を見ないことには、何回までやろうということが
決められないのではないでしょうか。
受ける側が要求しても、提示を渋るような医療機関は
論外だと考えてよいと思います。

体外受精はライフプランニングであるわけですから、
何回まで受けるか、いくらまでなら大丈夫かというプログラムを、
最初にきちんとつくるのは非常に大切なことです。
医師の側からは治療を治療をストップすることはあまりなく、
医療側が止めない以上は、
自分たちが明確な方針をもって体外受精にのぞむ必要があります。




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