「不妊ルーム」

Archive for 2月, 2016

「不妊ルーム」が産声を上げてから、16年近い歳月が流れました。
この間に本当に色々なことがありました。
そうした中で、ここ数年顕著な傾向があります。
それは、一人目を「不妊ルーム」で妊娠、
そして出産された女性が二人目を希望して、
再度「不妊ルーム」でのフォローアップを希望するといったケースが、
とてもに増えているのです。

ところが、ここで私は大きな壁にぶつかってしまいました。
というのは、一人目が自然妊娠、
あるいは、「不妊ルーム」で一人目を妊娠、
そして出産した女性が、4~5年経てから
「不妊ルーム」を訪れるというケースが多いのです。
一人目を出産したのが30代半ばであれば、
40歳前後ということになります。

もちろん、夫婦の側にしてみれば、
子どもができると二人目どころではなくなりますから、
子育てに振り回される日々が続きます。
そして?の子がヨチヨチ歩きを始め、
そして保育園、幼稚園に入園したあたりから二人目を考えはじめるのです。
ですから、4~5年の時間が経過するといういうことは、
ある意味自然なことなのです。

しかし、二人目を希望した女性が40歳前後となると、
卵子のエイジングという問題が前面に出てきます。
私は現在こうした二人目希望の女性と
毎日のように顔を会わせているわけですが、
こうした二人目希望を叶えることを「ドリームアゲイン」といっています。
そして、こうした女性達から異口同音に出てくるのが、
「卵子のエイジングということを最初から知っていれば、
もう少し子どもを持つという計画を、
前倒しで考えることができた」ということです。

幸いなことに、漢方薬に加え、最近DHEAサプリメントなどを使って、
年齢の高い女性でも妊娠される方がとても増えてきました。

私は、ホームページに次のように書いたことがありました。
「体外受精」ですか?「海外旅行」ですか? 
もしかしたら「海外受精」するかもしれません。

体外受精にかけるお金で、海外旅行に行ってみたら、
妊娠しました……こんな報告をしてくれたカップルがいたので、
このように書いてみたのです。
このフレーズに対して、
「不愉快だ、こちらは真剣なのに」と言う人もいました、、、。

不妊治療を不真面目にみているのではもちろんありません。
こういった言葉にある意味過敏に反応してしまうとすれば、
リラックスした気分で不妊治療を受けることはむずかしいものです。
妊娠しにくい心の持ち方をしているのではないかと思ってしまいます。

ですから、あなた方も肩の力を抜いて、大きく深呼吸! 
リラックスして、これからのふたりの進む道を話し合ってみてください。

「不妊ルーム」で、47歳の女性が妊娠され、48歳で出産されました。
当院最高齢です。
彼女は当院を受診されるまでに、
人工授精16回、体外受精を6回、経験されていました。
漢方薬とDHEAサプリでの妊娠でした。
私には、ある種の開き直りが、奏功したように思えるのです。

妊娠に対する男女の意識差

赤ちゃんを望んでいるのに、なかなか妊娠できないという状態は、
夫婦どちらにとってもストレスを感じるものです。
ましてや不妊治療を受けるとなると、
ふたりの上には相当強いストレスがのしかかってきます。

「不妊は夫婦二人の問題ですから夫婦二人で取り組みましょう」
と、よく耳にします。正論のように聞こえます。
しかしながら不妊治療はその実際において、
検査や治療のほとんどを女性が受けなければならない、
極めて女性の負担の多い医療なのです。
こうした現状の下、不妊治療の現場は、
「女性が母性を獲得するための戦場」と化しています。

こうした現実に男性側の理解が十分でないと、
不妊治療を継続していく過程で、
男女間の温度差を生むことになっていきます。
そして時間の経過とともに、セックスの回数が減少し、
容易にセックスレスへとつながっていきます。

男性側の立場に立ってみれば、今まではお互いに
「ただのセックス」「楽しいセックス」だったのが、
ある時点から、目的至上主義的なセックスを求められます。
「今日はダメだけど、3日後には絶対してね」
というふうになりがちです。
男性側に不妊治療に関する知識がないほど、
奥さんの目つきが今までと違うことにうろたえ、
セックスに対して腰がひけてしまうということになりがちです。
男性側に正しい理解がないからこそ起こるすれ違いと言えるでしょう。

不妊治療と仕事と妊娠

「不妊ルーム」で、多くの方とお会いしてきて、
漠然とですが、仕事を持っておられる方のほうが、
不妊治療にハマりにくいという印象を持っています。
なぜなら、仕事中は仕事に集中せざるを得ないわけですから、
その間は子どもができる、できないなどということは忘れて、
目の前の仕事に打ち込むことができるからだと思います。

「不妊治療のために、仕事をあきらめました」という方もありますが、
それがかならずしもよい結果につながるわけではありません。
「不妊治療に専念するために仕事をやめたが、
生活が不妊治療一辺倒になってしまいつらくなったので、
気持ちを入れ替えて仕事に戻ろうと思ったら、妊娠した」
――そんなややこしい(?)報告メールもいただきました。

このように書くと、仕事をしているほうが
妊娠しやすいと思われるかもしれませんが、
仕事のストレスが非常に強かったり、
仕事で疲れ果ててまっとうな夫婦生活が送れないというのも困ります。

一方、専業主婦の方の場合、その気になれば家にこもって
外に出なくても済んでしまうものです。
誰とも会わず、一日中不妊治療の本やインターネットばかりみていては、
「インターネット不妊」への道をまっしぐらに
突き進んでいるようなものですから、
とてもヘルシーな生活とはいえません。

結局のところ、家の外でも内でもいいから、
自分が関心をもって目を向けられるような何かを
持つことがとても大切なのです。
あなたにとってそれが仕事ならば外へ出て行けばいいし、
家のなかにだって打ち込めるものを
見出している人はたくさんいるでしょう。

 レッスン: 不妊治療に生活を占領させない!

妊娠しない3つの原因

私は不妊の原因を次の3つに大別して考えると、理解しやすいと思います。

 1)精子と卵子が出会うことができない物理的な原因
 2)受精卵が着床することができないという原因
 3)女性の加齢に伴う卵子のエイジングという、生理的不妊

着床障害に関してですが、精子を取り込んだ受精卵は半ば、
女性にとって異物ともいえるのですが、
この受精卵がなぜ体内から排除されないかという
メカニズムはほとんど全くわかっていないのです。
したがって、着床障害というのは、
ほとんど原因不明と考えていいと思います。
また卵子のエイジングに関しては、不可避的な現象でもあるわけで、
これといった有効な手だてがあるわけはありません。

したがって、不妊治療とは一言でいうなら、
1)を解決すべく、「精子と卵子の距離を縮める医療」といえます。
すなわちタイミング法とは、
精子と卵子が出会う日にちをより詰めることです。

人工授精は、通常の自然妊娠であれば、
約15センチの距離を泳いでいかなければいけない精子の道のりを、
精子を子宮内に注入することによって、約半分に縮めることができます。

体外受精にあっては、シャーレの中で限りなく
精子と卵子をゼロになりますし、
顕微授精に至っては強制的にその距離をゼロにしてしまうということです。




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