「不妊ルーム」

Archive for 1月, 2016

多くのかたは、子どもを望んで「不妊ルーム」に来院されます。
大変印象深いケースですけれども、非常に面白い方もおられるのです。
かなり前になりますけれども、
ある女性が「不妊ルーム」に相談にこられました。
ところがその女性は、椅子にすわると、
「私は子どもはいりません」と言うわけです。

それで私が不思議に思って、「子どもがいらないのになぜ、
「不妊ルーム」にくるのですか?」と聞きました。
彼女が言うには、「私は子どもは欲しくないんだけれども、
旦那が子ども、子どもってうるさいのです」というわけです。
それで、仕方なしに背中を押されて相談にきた。そういう話なんです。
それで、ご本人の検査、ご主人の精液検査を行いましたが、
何ら問題となる所見は出てきませんでした。

想像するに、”子どもは欲しくない”という気持ちが、
妊娠にネガティブに働いているのではなかろうかと思ったわけです。
何も問題がないわけですから、2~3ヶ月で、
その方は妊娠反応陽性が出たわけです。
それで私が「あなたは妊娠していますよ」と言いますと、
返ってきた言葉が、「ああ、そうですか」
そして、その次に出てきた言葉が
「これで、フラメンコの稽古はお休みですね」とそういった次第でした。
いわゆる感慨とか、そういった様なものがまったく感じられなかったんです。

ところが、その女性というのは、当時クリニックから
そんなに遠くない所に住んでいらしたようで、2年くらい経って、
たまたまその女性を駅前で私は見かけたわけです。
そうすると、2年前とは全く別人になっているわけなんですね。
子どもが可愛くて、可愛くてしょうがないと。ちょっとでも歩くと、
すぐに追っかけて、「危ないでしょう、○○ちゃん」と言っている。
全く同じ人だと思えない。
そういった経験も「不妊ルーム」ではしています。

人工授精も考え方しだい

人工授精における妊娠率が低いことは、皆さんもご存知だと思います。
しかし考え方ひとつで、人工授精をポジティブに捉えることもできます。

タイミング法から人工授精に移行した段階で、
カップルは妊娠とセックスが切り離されたと考えてしまいます。
しかし私は、たびたび不妊治療は、
妊娠力のサプリメントという言い方をしてきました。
ですから人工授精もサプリメントと考えてはいかがでしょうか? 

医師は、人工授精を行っていても、
そのカップルに自然妊娠の可能性がないとは、
多くの場合考えていないと思います。
何故なら、もし自然妊娠が無理と考えるのであれば、
速やかに体外受精などの高度生殖医療に移行するのが一般的だからです。

実際に不妊治療を行っている医療機関の方法なのですが
人工授精を2日間連続で2回行うというのです。
さらにそこでは医師が、女性に人工授精の前日に夫婦生活を持つこと、
そして2回の人工授精が終わった翌日にも夫婦生活を持つようにと、
アドバイスしているのです。
すなわち1回の排卵周期に、精子と卵子が出会う機会を
4回もとうというわけです。
もっともこうした人工授精を毎月行ったのでは、
男性のほうも大変だろうと想像はしますが、、、。

以前に「不妊ルーム」から、不妊治療医療機関に紹介した方で、
人工授精で妊娠されたのですが、本人曰く、
「タイミングもばっちりだったので、人工授精がよかったのか、
タイミングがよかったのか、わからない」とのことでした。

人工授精を行っていても、人工授精+タイミング法で、
自然妊娠も期待するという姿勢が、
カップルの妊娠力アップに繋がると、私は思うのです。

機能性不妊といわれたら

不妊症の検査をいろいろ行っても、10~30パーセントの人に
機能性不妊という診断名がつけられます。
機能性不妊とは、不妊に関係する明確な異常が見つからない、
原因不明の不妊症です。

卵巣、子宮、卵管などの器官、基礎体温、各種のホルモン、
さらに男性因子である精液検査、
精子と子宮内環境の相性を調べるヒューナーテスト、
そして子宮卵管造影検査などをを行ったうえで診断されます。

もし、あなたが機能性不妊と診断されたら、
今までどのような検査が行われたか、
くわしく医師から聞いておくようにしましょう。
機能性不妊の診断は、医師の診断能力によっても左右されます。
腹腔鏡の検査ができない医療機関の場合、転院も必要かもしれません。
転院に際しては、重複して同じ検査を受けないためにも、
紹介状を書いてもらうようにしましょう。

「不妊ルーム」でのこれまでの経験からは、
基礎体温およびホルモンバランスに異常がなく、
卵管造影検査も問題なく、そして精液検査に異常が見られない場合、
それ以上の検査を行っても、なにも所見が得られないことが多いのです。

ですから私は、不妊に関する大切な検査は、
「ホルモン検査」「子宮卵管造影検査」「精液検査」の3つだと思います。

42歳で妊娠された女性の言葉

「不妊ルーム」は、開設してから数年の間、
フォローアップをする女性の年齢を40歳未満としていました。
それは、当時は内科医である私が、40歳以上の女性を、
妊娠という目的に向かってナビゲーションしていく
自信がなかったことも正直ありました。

その後、フォローアップを希望される女性が増えるにつれて、
また「不妊ルーム」もいろいろな工夫を行ったことによって、
妊娠は増えていきました。
それでも、年齢制限の撤廃にはなかなか踏み切れませんでした。
きっかけになったのは、ある女性の経験です。

かなり古い話になりますが、38歳で、二人目希望の方が見えました。
当時は、6ヶ月間フォローアップを行って妊娠に至らない場合、
不妊治療へのステップアップをすすめるということを基本にしていました。
それは、「不妊ルーム」で半年間フォローアップをして妊娠しない場合、
その後の妊娠率が低下することが経験的にわかってきたからです。

そして、彼女に不妊治療をすすめました。しかし、彼女はキッパリと、
「不妊治療を受けるつもりは一切ありません。
このままフォローアップをお願いします」ということでした。
どれだけ時間が経っても、彼女の姿勢は一貫していました。
そして、3年8ヶ月通院された結果、妊娠反応「陽性」が出たのです。
彼女は42歳になっていました。

彼女から、無事女の子を出産したというメールをいただきました。
そのメールの中に、「子供が欲しいと思う気持ちに年齢はありません。
どうか子どもを望むすべての女性を導いてください」
と書かれてあったのです。
このことがきっかけとなって、私は”年齢制限を撤廃”したのです。
その後、DHEAサプリメントなどが味方となり、
40歳以上の女性も安定的に妊娠されるようになりました。

そんないろいろなエピソードを、昨年末に出版した
『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)に書きました。
お読みいただければ幸いです。

私が「不妊ルーム」で行っているフォローアップは、
言ってみれば「内診台のない不妊治療」です。
今まで、他の産婦人科で不妊治療をしてきた人たちが、
私のもとを訪れて、たくさん妊娠しているという事実は、
多くのカップルに「妊娠力」があることを物語っていると思います。

しかし、すべての人がそれだけでじゅうぶんだと言っているわけではありません。
もちろん、医療機関の助けを必要とするカップルもいます。

次に挙げるチェックリストは、不妊治療に進むべきかどうか、
ひとつの判断材料になるでしょう。

□ 基礎体温表に高温期がない(一相性)
□ 月に5、6回以上セックスをしていて、1年以上妊娠しない
□ 生理痛がひどくて会社を休むことがたびたびある
□ 生理が2ヶ月間こないことがたびたびある
□ 不正出血がひんぱんに見られる
□ 不妊治療を受けることについて、夫婦で十分に話し合い、合意している

以上の項目に該当するのであれば、
不妊治療も考えてよいと思います。

そして、不妊治療は、医療機関選びがなによりも大切なのです。
「不妊ルーム」では、8,000名以上の不妊相談の経験から、
信頼できる医療機関の紹介をおこなっております。




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