「不妊ルーム」

Archive for 10月, 2015

不妊治療のリテラシーをもつ

不妊というのは、本人が妊娠を希望しなければ、
何一つ不都合のない日常生活を送れる人が多いのです。
それが、不妊治療を受けることによって、日常生活にまで悪影響を及ぼし、
ときには夫婦関係にまで暗い影を落とすこともまれではありません。
不妊にのめりこむ「妊娠博士」「不妊博士」になっていけませんが、
有る程度の不妊治療に対する知識、
そして、リテラシーを持っておくということは、本当に大切です。
不妊治療を妊娠戦略に入れているカップルに、
とくに注意をうながしていきたいと私は思います。

リテラシーを持つとは、たとえばこういうことです。
不妊治療に最も大切な検査のひとつに、
「子宮卵管造影検査」というのがありますが、
この検査の設備は、小さな婦人科のクリニックには、ほとんどないのです。
そうしたレディースクリニックで不妊治療を受けると、
最も大切な検査が行われないで、
そのまま治療がすすんでしまうといったケースを、
私はたくさんみてきました。

ミニマムな基礎知識を頭の中にインプットしてから、
不妊治療に取り組むようにしましょう。
そのことが、妊娠に適切にアプローチしていけることでもあるのです。

Lesson 不妊治療には〝必要最小限〟のリテラシーをもっておく

妊娠しやすい排卵日はいつか?

 基礎体温をつけていくと、ある程度排卵日を予測できます。
長い間、低温期の最後にさらに一段体温が下がる日があり
(最低体温日)、この日が排卵日だとずっと考えられてきました。
これは、卵巣の中で育った卵胞が破れて排卵すると
卵胞は黄体というものに変化し、
ここから分泌される黄体ホルモンによって体温が上昇します。
ですから、この体温がいちばん下がった日を排卵日とすることは、
理にかなっていました。

 ところが、経膣超音波法の登場によって、
卵胞の大きさまで測定できるようになると、
排卵の時期を数時間単位で予測できるようになりました。
そして、実際に排卵が起こった時期を調べてみると、
必ずしも最低体温日に排卵するわけではなく、
むしろ、その翌日のほうが頻度が高いことがわかってきました。

 おおよその頻度を示すと、最低体温日前日5%、
最低体温日22%、最低体温日翌日(低温相最終日)40%、
最低体温日翌々日(高温相初日)25%です。
最低体温日=排卵日という考えがまかり通っていますので、
まずはこの事実を認識することが重要です。
そして、最低体温日の前日からの5日間は、
最も妊娠しやすい「GOLDEN 5DAYS」です。
この期間のセックスの頻度を高くすると、妊娠の可能性は高まります。

レッスン:基礎体温表によって排卵日をつかもう

妊娠を望むのであれば、妊娠以外に
打ち込めるものを持っておくことも大切です。

難関大学にたくさん合格者を出す
中高一貫教育に勤める先生の話を聞いたことがありました。
難関大学に進む生徒は、学力が高いのはもちろんですが、
勉強以外に打ち込める何かをもっていることが多いそうです。
それが部活であったり、趣味のヴァイオリンであったり、
人それぞれですが、そうしたものを持っていることが、
受験にも有利にはたらくということでした。
中高一貫であれば、高校受験がありませんから、
どうしても中だるみということが6年間の間に起こってしまうそうです。
そうしたなかで、勉強以外のものに打ち込めるものをもっている生徒は
そうした状態にならずに、自分のペースで
学力をキープしていけるとのことでした。

この話を聞いて私は、これは妊娠についても
当てはまるのかもしれないと思いました。
私はよく、「不妊ルーム」に訪れる人に、
〝妊娠を追いかけると、妊娠は逃げていく〟という言い方をしますが、
急がば回れで巡ってくるのが妊娠だったりします。

妊娠に対する男女の意識差

赤ちゃんを望んでいるのに、なかなか妊娠できないという状態は、
夫婦どちらにとってもストレスを感じるものです。
ましてや不妊治療を受けるとなると、
ふたりの上には相当強いストレスがのしかかってきます。

「不妊は夫婦二人の問題ですから夫婦二人で取り組みましょう」
と、よく耳にします。正論のように聞こえます。
しかしながら不妊治療はその実際において、
検査や治療のほとんどを女性が受けなければならない、
極めて女性の負担の多い医療なのです。
こうした現状の下、不妊治療の現場は、
「女性が母性を獲得するための戦場」と化しています。

こうした現実に男性側の理解が十分でないと、
不妊治療を継続していく過程で、
男女間の温度差を生むことになっていきます。
そして時間の経過とともに、セックスの回数が減少し、
容易にセックスレスへとつながっていきます。

男性側の立場に立ってみれば、今まではお互いに
「ただのセックス」「楽しいセックス」だったのが、
ある時点から、目的至上主義的なセックスを求められます。
「今日はダメだけど、3日後には絶対してね」
というふうになりがちです。
男性側に不妊治療に関する知識がないほど、
奥さんの目つきが今までと違うことにうろたえ、
セックスに対して腰がひけてしまうということになりがちです。
男性側に正しい理解がないからこそ起こるすれ違いと言えるでしょう。

年齢が高くなったり、不妊治療を受けている期間が長くなると、
どうしても気持ちに焦りがでてきます。
「妊娠のチャンスを1回も逃したくない」
「今周期こそは……」と非常に力が入っている方がいます。
しかし、こうした「気持ちが前のめりになっている人」は、
本人の意思とは反対になかなか妊娠が難しいという印象をうけます。

不妊のことばかりに気を留めると、
ストレスが高じて不妊症を悪化させるという、
悪循環にならないとも限りません。
なぜなら女性の体は脳の間脳→脳下垂体→卵巣→子宮と、
ホルモンバランスによって調整され、
月経周期もコントロールされています。
ストレスは、このホルモンバランスを乱す大敵だからです。

 よく不妊の方に向けたアドバイスで、
「あきらめないで」「がんばって」というコメントが頻発します。
しかし、私はあまり賛成できません。
不妊治療という強いストレスを感じる環境下で
「あきらめずにがんばって」も、
気持ちが前のめりになるばかりで、
かえって妊娠が逃げていくのではないかと思います。
私は、妊娠や不妊治療は、がんばるものではないと思っています。

Lesson リラックス!は妊娠へのキーワード




「不妊ルーム」