「不妊ルーム」

Archive for 7月, 2015

二人目不妊はなぜ多い?

二人目不妊のカップルがとても増えています。
二人目不妊においても器質的な問題が、
一人目を出産した後にも生じ得ますから、
一通りのスクリーニングの検査をすることは意味のあることです。
しかし、もし特定の原因が見いだせないのであれば、
不妊治療だけに期待するのではなく、二人のこれまでを振り返り、
生活を見直してみることで、
手がかりを見いだすことができる場合も多いのです。
二人目不妊を克服するカギが、
セックスに「新鮮さ」を見いだすことだったりします。

不妊治療の現状において、一人目不妊、二人目不妊を問わず、
女性の年齢が35歳以上であった場合、
非常に短い期間で体外受精に誘導されるケースが、
目立って多くなってきています。
私のこれまでの不妊相談の経験から、二人目不妊に対しては、
高度生殖医療は、あまり考えてほしくないと思っています。

第一の理由は、何よりもその医療費が
膨大であるということがあげられます。
そして、二人目不妊であっても高度生殖医療の妊娠率は、
年齢とともに低下していきますから、
二人目のお子さんを授かる確率も低くなっていきます。

子供は小さい時はとても手間がかかりますが、
親の手がかからなくなってくるころから、
今度はお金がかかるようになってきます。
体外受精という大きな医療費を投資した場合、
今いるお子さんに将来そのツケが回ってこないのか心配するのです。
ですから、二人目不妊も含め不妊治療は、
ファミリー・プランニングとしてではなく、
ライフ・プランニングと位置づけてほしいと思います。

できちゃった結婚のカップルの話はよく耳にするのに、
自分たちは赤ちゃんができずに悩んでいる。
何か納得いかないと感じている方も多いと思います。
ちょっとその理由づけをここで考えてみましょう。
結婚すると妊娠しづらくなるひとつの理由があります。
それは、結婚するとセックスの回数が
減るカップルが多いということです。
いわゆるマンネリズムが大きな壁となっているのです。

夫婦生活は、どうしても時間の経過とともに新鮮味を失っていくものです。
新婚当初はすべてが新鮮で、うきうき弾むような幸福感があったのに、
日常生活に追われているうちに、
いつのまにかそんな新鮮な気持ちを忘れてしまいがちです。
真新しかったカーテンも、クッションも、ベッドも、
見慣れたというより、見飽きたモノになっているかもしれません。
不便ではないけれど、新鮮味のないマイホーム。
そんな空間のなかで、セックスだけは新鮮な気持ちでなんて、
やはり難しいと思います。

これを打ち破るには、意識して変化をつけていきましょう。
大げさなことをしなければいけないわけではありません。
「不妊ルーム」で妊娠された方に聞いてみると、
それはちょっとした工夫でも案外効果があったようです。
カーテンの色を変えてみる、
ベッドまわりにお気に入りのグッズを並べてみる、
髪型を変えてみる、寝室に鏡を置いてみるなどなど。
旅行に行ったら妊娠したという方がとても多いのも、
環境の変化が普段のふたりに
新鮮な空気を吹き込んでくれたからではないでしょうか。

 私がカウンセリングをしたカップルで、こんな方たちがいました。
男性は、20歳のときのバイクの事故で脊髄損傷をうけ、
男性機能がいちじるしく障害を受け、
精子の数は通常の10分の1以下しかありませんでした。
しかし、幸い精子の質には問題ありませんでした。
いっぽう、女性には不妊に関する問題はありませんでした。

 計算上、このカップルは人工授精で妊娠できるぎりぎりの線でした。
それで人工授精も体外受精も行える医療機関を紹介しました。
紹介先の医療機関から、人工授精から治療を開始しますという連絡をもらい、
その後、医師、患者双方から何の連絡もありませんでした。

 それからかなりたって、ご主人のほうが風邪で来院されました。
診察のあと、さりげなく「奥さんはいかがですか?」と尋ねました。
すると「妊娠8か月です」という返事です。
「人工授精がうまくいったのですか?」と尋ねると
「紹介された病院には1回行っただけです。
家内は、そのあとすぐに自然に妊娠しました」
という答えに二度驚いたものです。
このように、妊娠しにくいと考えられるカップルでも、
自然妊娠はありえるのです。

 私は男性因子(精子検査)が正常で、女性の基礎体温が安定していて、
卵管の通過性が確認されていれば、自然妊娠はありえると思います。
不妊治療を受けているからといって、
自然妊娠の可能性がまったくないというわけではないことを、
決して忘れてはいけません。

私は、男性不妊を専門とする泌尿器科の先生からお話を伺う機会があり、
「精子力」について、深く考えさせられました。
妊娠は、一個の精子が、卵子の中に飛び込んで
受精卵となることからスタートします。
そして、受精が成立したその後、妊娠するかしないかは、
卵子側の問題だと考えられてきました。
たとえば、女性の年齢が高いと、
卵子のエイジングによって分割が進まない、
あるいは妊娠したあと流産してしまうのも、
女性側に原因があると考えられてきたのです。

しかし、よく考えてみてください。
1個の精子の中には23本の染色体、
そして1個の卵子の中にも23本の染色体があります。
精子と卵子が受精することによって、
46本、すなわち23対の染色体となり、
そのほかの細胞と同じ染色体数になるわけです。

船にたとえるならば、受精卵という船には、
23人の男性の船員と、23人の女性の船員が
乗船しているとイメージできるでしょう。
その船がうまく航行していないとしたら、
それはすべて23人の女性船員の責任でしょうか? 
男性船員も23人いるわけです。

こうした例え話をしたのは、男性因子の改善、
すなわち、より元気のある精子を増加させるという
泌尿器科的なアプローチがたいせつだと強調したいからです。
男性因子の改善によって、結果的に流産などが減り、
妊娠率も上げることができると、その医師は言うわけです。

これまで、卵子側の事情と考えられてきた流産ですが、
実は、男性にも原因があるということも段々わかってきているのです。
ですから、これからは、今まで以上に
男性の出番というのが増えてくると思いますし、
私自身そうなって欲しいと切に願います。

私は排卵していますか?

「不妊ルーム」に通院されている方から、
「今回私は排卵していますか?」という質問をよく受けます。
「不妊ルーム」での妊娠へのアプローチの基本は、
基礎体温表と排卵日検査薬を活用することです。
「基礎体温表が右目なら、排卵日検査薬は左目、
両眼で見ると、物は立体的に見えるでしょう」という説明もします。

しかし、いくら基礎体温表をながめても、
また、排卵日検査薬を使用しても、排卵を確認することはできません。
排卵しているのかどうかをどうしても知りたい場合、
排卵前から、卵胞チェックを入念に行い、卵胞が消失し、
ダグラス窩(か)と呼ばれるところに腹水が確認されれば、
排卵されていることになります。

しかし、不妊治療を専門におこなっている医療機関でも、
こうした入念な超音波検査はおこなっていません。
第一、このような事をおこなえば、
女性そのものが精神的にまいってしまうと思います
私は排卵してるかどうか、そのものに執着するのは
やめた方がいいと思うのです。
一般的にいって、基礎体温表が低温期と高温期が明確に分かれていて、
排卵日検査薬の反応があれば、
排卵したと考えた方が精神衛生上いいように思うのです。

もっとも「不妊ルーム」でも、新しい超音波機種の導入と同時に、
おなかの上からの「卵胞チェック」をおこなっております。
これを始めたきっかけは、「この方法なら、何回やってもらってもいい!」
という女性の声があったからです。
腹部超音波検査による「卵胞チェック」を開始してから、
妊娠が増えたことも事実です。

実際、当院で妊娠された多くの女性は、
そうした排卵の有無に無頓着な人が多いのです。
『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)にも書きましたが、
妊娠には ”あっけらかん” とした開き直りが大切だと、
私はつくづくそう感じます。




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