「不妊ルーム」

Archive for 8月, 2014

妊娠を呼ぶ「3つの法則」

不妊診療の現場では、最初タイミング法ということをおこないます。これは、女性
は、
生理開始から2週間前後に排卵しますが、その排卵する卵というのは、卵胞という袋
に入っています。卵そのものは、直径が0.1ミリ、目に見えない位の大きさなんで
すけれども、それが入っている卵胞という袋は、排卵が近づくにつれて、日々日々大
きくなっていきます。卵胞の直径が平均22ミリで排卵するといわれています。

ですから、経膣超音波で袋の大きさを測れば、いつ排卵するかということが、医療側
はだいたいわかるわけです。それを患者さん側に「明後日ぐらいですよ」とか、「明
日の晩じゃないですか」というメッセージをする。それに合わせて夫婦生活をもって
もらうというのが、タイミング法という、日本中で、世界中でおこなわれている方法
です。

ところが、このタイミング法は卵胞というものをチェックするわけですから、医療機
関、お医者さん以外はできなわけです。ところが基礎体温表をつけるということと、
排卵日検査薬を使うということは、家庭でできるわけです。ここに大きな大きな違い
があるわけです。

ですから、最初は自分達でやれることをやってみよう。それでもダメだったら次に
行っ
たらどうだろうか? その時に、ただ努力するのではなくて、

 1)基礎体温表をつける
 2)排卵日検査薬を併用する
 3)夫婦生活を増やす

これが ”妊娠を呼ぶ「3つの法則」”です。子供を望む夫婦の半数近くは、この方
法で妊娠できるのではないかと、私は思っています。

不妊の男性因子には、精液の中の精子の数、精子の運動率、精子が精巣で作られてい
るか、セックスができるかなどです。精液の中の精子の数や運動率は、精液検査を行
えば、一目瞭然です。検査の結果が思わしくなかった場合は、その原因をさぐるため
に次のステップに進みます。

精液を顕微鏡で覗くと、正常な場合、そこでは70%以上の精子が元気に動き回ってい
ます。そして1mlの精液の中に、5000万〜1億程度の精子が存在しています。こ
れが少ない場合を乏精子症、まったく精子が見られない場合を無精子症といい、運動
能力を持つ精子が50%以下の場合を精子無力症といいます。もっとも、我が国で
は、
精子の数の基準値を1ml当たり5,000万/ml以上としていますが、WHOでは、2,000
万/ml以上としています。

精液検査での結果が思わしくなければ、もう一度精液検査をしてみるということも大
切です。時期をずらしたり、医療機関変えるなど、少し環境を変えただけで精液検査
の結果がよくなることもしばしばあります。女性の体と同じく、男性の体も精子に関
しては、とてもデリケートです。その時の精神状態やストレス、健康状態などによ
り、
含まれる精子の数や、運動率は違います。だから時期や医療機関を変えて再度検査
を。
2度目の検査でも結果が同じならば、そこから解決策を考えていけばいいのです。

そして体外受精が第一の選択肢となるのは、重度の乏精子症、精子無力症、そして精
液中に精子0でありながら、精巣には精子があるという場合です。精巣から精液を採
取すれば、顕微授精が適応となります。顕微授精はたったひとつ、質のよい精子があ
れば受精は可能です。

妊娠=ゴールではありません!

子供が授からないと悩み始めると、妊娠=ゴールのように思ってしまいがちです。し
かし私が「不妊ルーム」で、これまで多くの女性と、一人目不妊、二人目不妊の相談
を受けてきた経験からいえば、そうではありません。

妊娠に至っても、出産まではかなりの月日がかかりますし、その間の女性の体重のみ
ならず、体調の変化というものには大変なものがあります。そして出産して子供を授
かれば、子育てという長いマラソンのようなレースが始まることになるのです。

「不妊ルーム」で妊娠された方で、妊娠中に下記のようなメールを送ってくれた方が
おられました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「私は「子供は預かりもの」とも思いたいです。
今の世の中、毎日のように虐待のニュースが流れています。
子供は自分の物ではない、私や両親、祖先様から続いてきた大切な命として、
神様から預かった大切な命として、これから大切に大切に育て、
社会にお役に立てる人としてお返しできるよう母として使命を持って
育てさせていただこうと思っています。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

私は本の中で、子供を持つことをファミリープランニング(家族計画)ではなく、ラ
イフプランニングと考えましょうと書きました。それは、二人目不妊で相談にこられ
る方は判で押したように、子供が産まれたら毎日が大変で、とてもじゃないけれど、
二人目を考える精神的余裕などはまったくなかったと言われるからです。

また、一度妊娠した人は、欲しくなったらまたすぐに妊娠できるという思いこみも生
じてしまいがちです。そしてそうしたことが、二人目を考えるまでに時間を要し、卵
子のエイジングにも繋がりかねないのです。

もしあなたが今、子供を持つことに悩んでいるのであれば、そのことをポジティブに
とらえて、これから二人でどのような家庭を築いてゆくかという、ライフプランニン
グをゆっくり考える機会にしてみてはどうでしょうか。

不妊治療と仕事と妊娠

「不妊ルーム」で、多くの方とお会いしてきて、漠然とですが、仕事を持っておられ
る方のほうが、不妊治療にハマりにくいという印象を持っています。なぜなら、仕事
中は仕事に集中せざるを得ないわけですから、その間は子どもができる、できないな
どということは忘れて、目の前の仕事に打ち込むことができるからだと思います。

「不妊治療のために、仕事をあきらめました」という方もありますが、それがかなら
ずしもよい結果につながるわけではありません。「不妊治療に専念するために仕事を
やめたが、生活が不妊治療一辺倒になってしまいつらくなったので、気持ちを入れ替
えて仕事に戻ろうと思ったら、妊娠した」――そんなややこしい(?)報告メールも
いただきました。

このように書くと、仕事をしているほうが妊娠しやすいと思われるかもしれません
が、
仕事のストレスが非常に強かったり、仕事で疲れ果ててまっとうな夫婦生活が送れな
いというのも困ります。

一方、専業主婦の方の場合、その気になれば家にこもって外に出なくても済んでしま
うものです。誰とも会わず、一日中不妊治療の本やインターネットばかりみていて
は、
「インターネット不妊」への道をまっしぐらに突き進んでいるようなものですから、
とてもヘルシーな生活とはいえません。

結局のところ、家の外でも内でもいいから、自分が関心をもって目を向けられるよう
な何かを持つことがとても大切なのです。あなたにとってそれが仕事ならば外へ出て
行けばいいし、家のなかにだって打ち込めるものを見出している人はたくさんいるで
しょう。

 レッスン: 不妊治療に生活を占領させない!

タイミング法の落とし穴

不妊治療にエントリーすると色々な検査が始まりますが、検査と同時に行われる治療
がタイミング法とよばれる指導です。目的は妊娠なのですから、検査もさることなが
ら、治療を同時進行させるというのが不妊治療では一般的です。

そしてこのタイミング法には、大きな落とし穴があります。
排卵とは、卵巣の中のサバイバルレースを生き抜いた一個の卵子が卵巣から飛び出し、
卵管采というキャッチャーミットに吸い込まれることです。
この卵子の大きさは、もちろん変わるものではありませんが、これを包む卵胞の大き
さは日ごとに大きくなっていきます。その卵胞の大きさの変化は、経膣超音波検査を
おこなうことによって観察することができます。医師は、その卵胞の大きさから排卵
日を予測し、夫婦生活をもつタイミングを指導するのです。

ある女性が言うには、このタイミング法が始まった当初、とても感激したそうです。
なぜかというと、排卵日を医師が教えてくれるわけですから非常に高い確率で妊娠で
きると思ってしまうわけです。

しかしこの卵胞の大きさから、必ずしも排卵日が正確に予測できるわけではないので
す。なぜなら、卵胞の直径が18mmで排卵する時もあれば、30mmになっても排卵しな
い場合もあるからです。そうするともう一度診察に行き、明日の晩もう一度夫婦生活
をもってくださいなどとアドバイスされるわけです。

この女性は、当初の感激もどこへやら、月を追うごとに精神的に追いつめられていっ
たそうです。そして、セックスがあたかも赤ちゃんをつくるためだけに目的化されて
しまったのです。ご主人は、指定した日を避けるかのように遅く帰宅したり、同僚と
飲んで帰ったりするようになったというのです。

さらに基礎体温表を見てみるとと、タイミング指導が始まってから、基礎体温がガタ
ガタになってきたそうなのです。これは先ほど述べた、あなたの身体の中の指揮者
が、
ストレスで指揮棒をうまく振れなくなったと訴えているのです。これではなんのため
の妊娠へのアプローチか、わからなくなってしまいます。

「不妊ルーム」での相談の経験からいっても、タイミング法が始まってから夫婦生活
が激減したという夫婦が、とても多いのです。このことは不妊治療第1段階の大きな
落とし穴として知っておく必要があります。




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