「不妊ルーム」

Archive for 5月, 2014

あなたがた夫婦が、不妊治療におけるセカンドステップである人工授精を受ける予定
がある、あるいは現在すでに受けているのなら、人工授精とはどういうものかを、正
しく理解しておく必要があります。
 
人工授精とは、男性の精液をパートナーの子宮内に注入することです。この技術はか
なり古くから行なわれており、また健康保険適用外ですが1回の人工授精にかかる費
用はおよそ1.5〜3万円程度。また、この治療を受けること自体は、体にもそんなに
負担になることではありません。
 
それでは、セックスによって膣内に射精するのとどこが違うのかといえば、たとえば
男性の精子に問題がある場合(精子の数が少ない、精子の運動率が低いなど)、質の
良い精子を分離する「パーコール法」や、元気のある精子が精液の上のほうへ泳いで
くる性質を利用して上方にいる精子を回収して使用する「スイム・アップ法」用いる
ことによって、少しでも妊娠する確率を高めようとするところにあります。
 
また、女性の側の因子として、子宮頚管粘液が十分に分泌されないようなケース、つ
まり精子が子宮のなかに入っていくことができにくいような場合では、人工授精で精
子と卵子の距離を縮め、近道させることで妊娠の可能性を高めるという意味で行われ
ることもあります。
 
また、はっきりとした原因がわからない機能性不妊(原因不明不妊)の場合にも、人
工授精が行われます。精子と卵子の出会う距離を縮めるためというのが理由のひとつ、
もうひとつは、体外受精に進む前の移行的な治療という側面もあります。
 
この人工授精の場合でも、成功するかどうかのキー・ポイントは、どれほど正確に排
卵のタイミングにあわせて精子を注入できるかにあります。そのために卵胞の計測や、
排卵誘発剤のクロミッドを利用したりするわけですが、それでも人工授精における妊
娠率は、5〜8%。妊娠率がさほど高くないため、5回〜10回程度行なうのが一般的
です。
 

妊娠のためのストレス対策を!

”ストレスは妊娠の大敵 ”ということを、このブログの「妊娠を妨害するストレス

の正体」で述べました。では、そのストレスにどのように対処することで、視床下部

に優しい生活ができるでしょうか?

ストレスが関係する代表的な病気「うつ病」を例に考えてみます。うつ病は「心の風

邪」ともいわれます。そしてうつ病で大切なことは、早期発見と安静だと言われてい

ます。すなわち、ストレスから遮断された状態に身を置くことが大切なのです。この

点も風邪とよく似ていると思います。風邪もこじらせると肺炎になり、命に関わるこ

とにもなりかねません。

現実社会で私たちは、仕事やプライベートでさまざまなストレスを感じるわけです
が、

そうしたことから全く遮断した生活を送る、、、ということは現実的ではありませ
ん。

ではどのように考え、行動すればいのでしょうか?

私達は食べ物を摂取すると、それが消化されて、いらないモノはやがて排泄されま
す。

そのことによって生命は維持されます。すなわち、インプットとアウトプットが正常

に機能することが大切です。

これをストレスに当てはめて考えるならば、そのアウトプット、すなわち「はけ口」

を見つけておくことが大切だと思うのです。気の進まない仕事をしなければならない

時には、その後に自分で楽しみを設定しておくのも、ストレスの解消になるかもしれ

ません。仕事が立て込んでいるのであれば、その前後に旅行や休息の時間を設けると

いった、ちょっとした工夫でストレスというものに、うまく対処していけるのではな

いでしょうか。

妊婦さんを見るのがストレスという方がおられます。こうした場合でも、妊娠した時

の自分を想像してみてはどうでしょうか。自分にあった自分なりの「マイ・デトック

ス」を見つけましょう。

妊娠とDHEAサプリメント

妊娠を困難にする因子のひとつは、女性の年齢、正確には卵巣内の卵子年齢です。この卵子のエイジングに対しては、「不妊ルーム」では、フォローアップ開始当初から、漢方薬で対処してきました。女性の生理期間中にFSHを測定し、この値を指標にして、漢方薬で反応を見てきたわけです。女性は35歳を過ぎると、FSHの値が上昇し始めます。この値は、8mIU/ml以下が望ましいとされていますが、40歳前後から、10以上の女性が多くなります。ここ数年、「不妊ルーム」におけるフォローアップで、37歳以上で妊娠される女性の数がとても増えてきました。それはDHEAサプリメント(以下、DHEAサプリ)を使用してからのことです。DHEAは、女性ホルモン、男性ホルモンの前駆体、すなわち原料と考えられ、DHEAは、加齢と共に減少することが知られています。DHEAサプリを服用してもらうと、良質な卵が排卵されやすいことが知られています。そこで、DHEAの値の低い女性に、DHEAサプリを服用してもらえば、良質な卵が排卵され、妊娠しやすくなると考えたわけです。さらに、DHEAサプリの使用に積極的になった理由は、 1)DHEAの値は採血で簡単に測定できる 2)数値が生理周期の変動を受けにくいというメリットがあったからです。また、体外受精などでも、DHEAサプリを服用しての採卵で、良好卵がとれるとの報告もあります。「不妊ルーム」で、47歳の女性が妊娠されました(その後、48歳で出産)。この方も、妊娠時の処方は、漢方薬+DHEAサプリでした。これからも、FSH、DHEAなどを指標とし、1人でも多くの女性が妊娠されるよう取り組んでいきます。

35歳は妊娠のまがり角!?

遠い昔の化粧品のCMに、「25歳はお肌の曲がり角」というのがありました。これを妊娠にあてはめるなら、「35歳は妊娠の曲がり角」と言えるかもしれません。「不妊ルーム」を開設してしばらくの間、35歳の
「壁 」
で苦戦をしていた時期がありました。それから、私も経験を積んでいき、漢方薬を積極的に利用したこと、ブログでも取りあげているDHEAというサプリメントの使用などにより、35歳以上の妊娠も順調に伸びてゆきました。現在の「不妊ルーム」では、女性の35歳は、「

」という状況ではまったくありません。しかし、それでもこの年齢を「曲がり角」と考えるのは、例えば35歳で第一子を授かった人が、二人目を希望して来院される人が急増しているからです。いわゆる
” アラフォー世代 ”
になって、二人目不妊で苦労するケースを少なからず経験しています。35歳を越えると、FSHの上昇や、DHEAの低下といった、鏡には映らない体の変化が、数値としてあらわれるようになってきます。こうした検査は、医療機関を受診して、自らチェックをお願いすることも可能です。また、自らができることとして、基礎体温表を大切にして、それを見ているだけでも、自分の体のリズムというものは、ある程度自分で知ることができます。ブライダルチェックがあるのなら、「妊活チェック」もあっていいかもしれません。私は子供を持つということを「家族計画」ではなく、「人生計画」と考えるべきだと、皆さんに伝えています。自分やご主人の年齢、あるいは自分たちをとりまく環境、社会状況をなどを考え、これからのライフプランを立てていただきたいと思います。私の最新刊『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)には、35歳からどのように妊娠にアプローチすればよいか、わかりやすく解説しました。きっと皆さまのお役に立つと思います。

黄体機能不全の新しい考え方

不妊治療において原因が特定されない間、あるいはその不妊の原因が黄体機能不全や
排卵障害と考えられる場合、通常、排卵の時期に合わせてセックスを指導するタイミ
ング指導が行われます。
 
排卵障害に対しては、従来よりクロミッド(一般名:クエン酸クロミフェン)という
薬が頻用され、現在に至るまで、この薬は不妊治療の首座にある薬といっても過言で
はありません。実際、この薬により「福音」をもたらされた夫婦は数しれないと思い
ます。近年、この薬の価値はさらに高まっているように思えます。
 
それは、排卵障害と黄体機能不全は、コインの裏表のように、表裏一体の関係にある
と考えられるようになったからです。卵胞が成熟し、排卵を終えた卵胞は黄体という
ものに変化をします。その黄体から分泌されるホルモンが黄体ホルモンであり、この
ホルモンは体温を上昇させ、妊娠を継続させるという働きがあります。このホルモン
の分泌や作用が十分でない状態を黄体機能不全といい、臨床的には高温期の基礎体温
の低値や、黄体ホルモン値の低下として現れます。
 
最近の黄体機能不全の考え方としては、最初に排卵障害ありきと考えられるようになっ
てきています。ですから排卵が認められても、黄体機能不全がみられる場合には、積
極的にクロミッドが使用されるようになっています。「不妊ルーム」でもそうした考
えで、クロミッドを使うことが多くなってきました。
 




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