「不妊ルーム」

Archive for 4月, 2014

妊娠への Or からAnd思考へ

「Or思考からAnd思考へ」というお話をしたいと思います。皆さん『CREA』という女
性誌を御存知でしょうか? とても評判が良く、売れ行きの良い雑誌だと聞いていま
す。この『CREA』という雑誌が、多くの女性、とりわけ働く女性に支持されているの
は、その雑誌のカバーに小さく印刷された、「欲張り女は美しい」という、この雑誌
のコンセプトにあるのではないかと思います。
 
一昔前の均等法時代の、「仕事か、結婚か?」、「仕事か、出産か?」という二者
択一を自分に迫る生き方ではなく、仕事も結婚も、そして出産、子育ても全て欲張っ
てしまう、そういう生き方を提示し、勧めようとしている雑誌なのです。二者択一か
ら、二者二択の時代へ、ということなのでしょう。
 
こうした事情もあるのでしょうか? この雑誌は毎年10月の発売号は「母親にな
る」という特集を見ます。私も『CREA』の取材を受けたことがあるのですが、今を生
きる女性達の空気を、本当に肌で感じ取った誌面作りをしているというふうに思いま
した。しかし、何もかも、仕事も結婚も出産も取り入れるというのでは無理がきてし
まうとも十分考えられます。
 
女性の一生涯には、通常結婚、出産、育児というものがプログラムされているわけ
ですから、確かにハードルと感じてしまうこともあると思いますが、そうしたハード
ルをうまく利用することによって、より良い人生を手に入れることも可能だと思うの
です。注意しておかなければいけないことは、こうしたことは自分達が自律的に考え
なければいけないということです。
 
なぜなら、あなたを取り巻く環境というのは、あなたのプライベートまで立ち入るわ
けもありませんし、仕事社会は仕事という軸で動いていますから、その流れの中に流
されないためにも自分達できっちりとしたライフプランニング、そしてその中での仕
事の位置づけということが本当に大切な時代なのだと思います。
 

卵子のかなしい宿命

卵子に関する、とてもショッキングなお話をしなければなりません。その結論を最初
に言ってしまうと、”卵子は減り続ける”、そして”卵子は老化する”という2つの
ことです。
 
妊娠した胎児が女の子の場合、胎生期に個体形成の過程で、卵巣が形作られていきま
す。そして、妊娠6〜7ヶ月目頃に卵巣の中に、卵子が女性の生涯を通して一番数が
多く、両側に併せて、600万程度の卵子があると言われています。そして、その卵
子は産声をあげて産まれてくる頃には、既に半分程度にまで減少していると言われて
いるのです。
 
さらにその数は一貫して、坂を転げ落ちるように、ひたすら減り続けていくのです。
初潮を迎えて、いわゆる排卵がおきる頃には、両側の卵巣の卵子は出生児の10分の
1程度にまで減少していると言われています。
 
女性は卵巣の中に、卵子を抱えて生まれてくるわけですが、その卵子は減少していく
のみならず、身体の筋肉、心臓などの他の臓器と同じように、年齢と共に、加齢、す
なわちエイジングをしていくということです。初潮を迎えるまで、卵巣の中の卵子は
いわば休眠状態にあるわけですが、そうした間にも、卵子は年を追うごとにエイジン
グしているのです。
 
もっとも、人が幼少期から大人になるまで成長するように、卵巣の中の卵子は、妊娠
する能力のある卵子となるべく成長もしているわけです。これもまたエイジングです。
 

子供の一人目はすんなりとできたのに、二人目に苦労する場合、通称として「二人目
不妊」という言葉がしばしば用いられます。このことをお話するには、何よりも私が
行っている「不妊ルーム」での経験をお話するのが一番良いと思います。

「不妊ルーム」を開設して5年ほど経った頃から、一人目が当院でできた方が、二人
目を希望して来られる、という人がポツポツと出始め、それが年を追うごとに増加し
てきました。最近では同じ人が再訪するということが、半ば当たり前になっていま
す。

そして多くの場合、一人目は2〜3ヶ月で授かった人でも、二人目で苦戦をするという
人がとても増えているのです。何故そうなってしまうのでしょうか? それは少し掘
り下げて考えてみれば、答えは容易に出てきます。

実は二人目で再訪される人は、一人目ができて4〜5年経って再度来院するというケー
スが、圧倒的に多いのです。そうすると当然のことながら、一人目が30代半ばででき
たのであれば、二人目希望の場合は、40歳前後ということになってしまいますここ
で”エイジングの壁”というものにぶつかってしまうのです。そしてこうした人達
は、判で押したように「もっと早く来るべきだった」と言います。

しかし子供が一人産まれると、とてもじゃないが二人目どころではなくなってしまう
わけです。そして子供がヨチヨチ歩きを始め、やがて保育園、幼稚園などに通いだし
た頃に、二人目と考えることになるからです。

さらに「不妊ルーム」での特徴としては、一人目を授かる際に、不妊治療を経験され
た人は、「もう二度と不妊治療はごめんです」というようなことも判で押したように
言います。そして子供というのは、言葉を発して自分の意志を親に伝えることができ
るようになると、これもまた判で押したように「兄弟が欲しい」と言うのです。そし
たことが「二人目不妊」という人達を増加させる要因になっています。

いずれにしても、2人目を考えるのであれば、1人目とあまり間をあけないというこ
とは、これからの妊娠を考えるカップルにとって、大切な知恵だと私は思います。

不妊治療を離れてみる!

 不妊治療は、確かに妊娠のためのひとつの手段ですが、不妊治療をはじめると視野
狭窄になる場合が多く、妊娠は不妊治療の延長線上にしかないと思いがちです。しか
し、そんなことはないのです。
 
 不妊治療で、かえってセックスの回数が減ってしまうケースはよくみられます。不
妊治療のタイミング指導を受けると、排卵日に合わせて、その日のみセックスをする
という味気のない状態になります。また、人工授精や体外受精へとステップアップす
るにつれて、心身ともに疲れてしまうカップルを多くみてきました。このような状態
ではなかなか妊娠しにくいのもので、私はこれを「不妊治療不妊」と呼んでいます。
 
 不妊治療に行き詰まったり、不安が芽生えたときには、不妊治療をいったん休んで
自然にまかせてみるもの不妊治療です。また、その間に妊娠に至ったケースもしばし
ば見かけます。いったん不妊治療を休んだら、ふたりでゆっくり将来のことを考えた
り、旅行などにでかけてみたり、趣味をはじめるなど、リラックスして過ごすように
しましょう。
 
 そして余裕があれば、二人でできるタイミング法にもチャレンジしてみてください。
そのときも、「妊娠するのかしないのかは誰にもわからないんだから気楽にやろう」
というくらいに考えていてよいのです。
 
レッスン:不妊治療をいったん休んでみるのも不妊治療
 
 

排卵はとても神秘的なのです

女性初潮を迎えると閉経に至る30年以上にわたって、28日から32日周期で生理変動が

周期的にあります。そして否応なしに生理という形でそれを自覚することになりま
す。

2週間前後の低温期と2週間前後の高温期に分かれた体温の変化を毎月繰りかえすこと

になるわけです。

そのことを女性は当たり前と思っているかもしれませんが、これは体内で非常に微妙

なホルモンのバランスによって、調節されているのです。詳しいうと、脳の中に、脳

下垂体-視床下部という部位があるのですが、ここがいわば生理周期のリズムをとる

指揮者の役割を担っています。

ここからのメッセージによって、最も主役を演じるのは、プロゲステロン(黄体ホル

モン)という体温上昇作用をもつホルモンなのですが、それ以外にもエストラジオー

ル(E2、通称女性ホルモン)や、LH、FSHなどといったホルモンが微調節されることに

よって、この規則正しい生理周期となるわけです。そして視床下部という指揮者はス

トレスに大変弱いということが知られています。

私達の人間の身体でこうした規則正しい周期性を持っているのは、女性の生理周期以

外にはありません。確かに人は、朝起きて、夜寝るということを毎日繰り返してはい

ますが、この一日の周期は、朝に太陽が昇って明るくなり、夕方に日は沈み、星が出

るという、いわば外的変化に身体が対応しているわけですから、自律的な周期とはい

えません。

いずれにしても女性が生理周期を持つということは、とても神秘的なことだと私は思

います。




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