「不妊ルーム」

Archive for 3月, 2014

私は、今から10年少し前に、『妊娠力』(主婦と生活社)という本を出版しました。
この本は、ベストセラーとなった『妊娠レッスン』(主婦と生活社)を出版した後、
読者の方から「私達をもう一度励ますような本を書いてください」という、多くのリ
クエストに応えて書いたものです。『妊娠力』も幸いになことに多くの読者に受け入
れられ、6刷まで版を重ねました。
 
『妊娠力』は、”どうしたら気持ちを楽にもって妊娠を待てますか?”、ということ
をテーマとした本でした。『妊娠力』は、読者のお守りのような本になり、多くの女
性を励ましてきました。
 
しかしながら、医学関係の実用書というのは、時の経過とともに、そのコンテンツが、
時代と合わなくなってくるものです。そして昨年春に『妊娠力』は絶版となり、書店
の本棚から静かにフェードアウトしました。
 
しかし、今年に入って突然、『妊娠力』をリニューアルをして、文庫本として出版し
たいという申し出があったのです。私はこのチャンスに、ただ文庫化するだけではな
く、その内容を見直し、今の時代により合ったものにすべく、リメイクしました。そ
して、私のどの本より、間口を広く取り、多くの女性に受け入れてもらえる本になり
ました。
 
本の帯のキャッチコピーは、「あなたのための妊娠バイブル」とあります。”バイブ
ル”かどうかは、読者に判断をゆだねますが、『妊娠力』以上に”お守り”になる本
だと自信を持って言えます。
 
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◆『知っておきたい「妊娠力」』- プロローグから
 
 今、本書を手に取り、読んでいるあなたは、これから結婚する人でしょうか? そ
れとも、結婚はしていても、赤ちゃんはもう少しあとでいいと思っている人でしょう
か? 結婚して妊娠したいと思ったとき、スムーズに妊娠できるかどうかは、正直に
いって誰にもわかりません。だからこそ、いつか赤ちゃんを産んでママになりたいみ
なさんに、ぜひともこの本を読んでほしいのです。
 
 本書には不妊に悩む人々へのさまざまなアドバイスが書かれていますが、それはま
た、これから妊娠するであろう人にも、ぜひ知っておいてほしいことでもあります。
日常生活のこと、気持ちのもち方のこと、妊娠するために不可欠なセックスのことな
ど、みなさんがもっている「妊娠力」を低下させないために、日頃から心がけてほし
いことばかりです。
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文庫本ですから、単行本よりもずっとお安くなりました。小さな本ですから、より”
お守り感”がある本になったと思います。
『知っておきたい「妊娠力」』(静山社文庫)は、4月4日発売になります。
 
 

性急な不妊治療はNGです

妊娠とはまったく関係ない一般論を言っているように聞こえるでしょうか? でも、
そんことはありません。どうも私には、今どきの「急がば急げ」の不妊治療が、生活
の中から、あなたのうるおいを奪ってしまう気がしてならないのです。
 
■自分は不妊専門の医療機関に通っているのですが、治療のステップアップが早そう
で、今すぐに人工授精や体外受精をすすめられたらどうしようか、本当に悩んでいま
した。先生もお忙しいせいかほとんど話を聞いてくれません。でも、今すぐに高度生
殖医療を受けるのはやめようと心に決め、その代わり心と体を妊娠しやすい方向に持っ
ていこう、何も急ぐ必要はないと思ったら、なんだか気持ちがスッキリしました。■
 
実際、不妊治療の医療機関には、型どおりの診察と、テンポの速いステップアップで
治療を行うところが少なくないようです。患者さんが治療のテンポについていけなかっ
たり、ステップアップに躊躇していることに、先生は気付いてくれているでしょうか?
 急いだからといって、いい結果が必ず出るものではありません。もっとじっくり、
ときには回り道をすることが、案外早道だったりするのが「妊娠」です。
 
「うさぎとかめ」のお話がありますが、現在の不妊治療は、おおむね「うさぎ」のよ
うです。検査、治療とポンポンと前へ進んでいきます。直線コースのレースであれば、
絶対にかめはうさぎに勝てません。ところが妊娠というのは、28〜30日周期のト
ラック競技のようなもの。かめがゆっくり歩いても、走ってきたうさぎがあなたのう
しろにいるかもしれません。
 
慌てず急がず、のんびり歩いていくことも考えてみませんか? うるおいのある生活
を楽しむことで、気分が明るくなることのほうが、妊娠によい効果をもたらしてくれ
ることも多いのです!
 

進んで年をとらない!

私は「不妊ルーム」に相談に来られる女性とお話ししていて、とても気になることが
あるのです。それは、自分の年を必要以上に気にしすぎるきらいがあるということで
す。
 
クリニックにこられた方には、問診表に生年月日と年齢を書いていただくので、私に
はその患者さんの年齢が分かります。そこで「あなたは35歳ですね」と聞くと「今
年36になります」と答える人が非常に多いのです。
 
その人は誕生日の前日までは、まちがいなく35歳なのです。なぜ自分から進んで年を
取ろうとするのでしょうか? こういう方は、35歳の年のほとんどを、36歳の気
分で過ごしているのでしょうか? ネガティブな考え方だと思います。
 
たしかに妊娠が可能な年齢には確かに限りがあります。そのことが、女性の気持ちを
焦らせるのでしょう。その気持ちは男性には分かりづらく、夫婦の温度差の原因の一
つかもしれません。
 
しかし、あわてたからといって妊娠できるものではありませんし、気持ちが焦れば焦
るほど、妊娠は逃げていってしまいます。こういうときこそ、ポジティヴ思考が大切
です。「まだ35歳、まだまだ大丈夫」と自分に言ってみましょう。そして進んで年を
取り、自分を追い詰めるのは、もうやめにしましょう。
 

二人目不妊はなぜ多い?

不妊治療では、一人目不妊、二人目不妊を問わず、女性の年齢が35歳以上であった
場合、短い期間で体外受精に誘導されるケースが、目立って多くなってきています。
私のこれまでの不妊相談の経験から、二人目不妊に対しては、体外受精などの高度生
殖医療をあまり考えてほしくないと思っています。その理由は、何よりも医療費が高
額だからです。そして、二人目不妊であっても体外受精の妊娠率は、年齢とともに低
下していきますから、二人目のお子さんを授かる確率も低くなっていきます。
 
とても印象に残っている経験なのですが、二人目不妊の相談でカップルそろって、そ
してお子さんを連れて来られた方がありました。その夫婦は二人目を希望しながらも
授からないため、すでに2回の体外受精を経験されていました。そして、一人目のお
子さんは自然妊娠で、二人目不妊の原因が特定されない機能性不妊の診断でした。
 
私が違和感を持ってしまったのは、現在、目の前にいるお子さんにあまり注意がいっ
ていないのではないかと、老婆心ながら思ってしまったことです。「今度の体外受精
は、いつ、どこで、どのようにおこなったらよいか?」、矢継ぎ早に質問されるので
す。しかし、そのカップルにとって大切なことは、もう1人子供を得ること以上に、
現在のお子さんを健やかに育てることではないかと、私はその子供を見て少々不憫に
も思いました。
 
子供は小さい時はとても手間がかかりますが、親の手がかからなくなってくるころか
ら、今度はお金がかかるようになってきます。体外受精という大きな医療費を投資し
た場合、今いるお子さんに将来そのツケが回ってこないのか心配するのです。
 
二人のこれまでを振り返り、生活を見直してみることで、妊娠への手がかりを見いだ
すことができる場合も多いものです。二人目不妊を克服するカギが、セックスに「新
鮮さ」を見いだすことだったりします。
 
二人目不妊も含め不妊治療は、ファミリー・プランニングとしてではなく、ライフ・
プランニングと位置づけてほしいと思います。
 

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。これは、不妊
治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。私がメールで不妊治療からリ
タイアすることをすすめたことに対して、お礼を書いてきてくれたのです。
 
   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。
 
赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと不妊治療に足を踏み入れ、身体的、
精神的苦痛を味わい、経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、どんなにがんばっても赤ちゃんに恵ま
れないカップルはいるのです。
 
不妊治療を続ければ続けるほど、赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、いつかは
決断をしなくてはならないときもきます。
 
不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、どうしても赤ちゃんができ
なければ、赤ちゃんのいる生活がすべてではないと割り切ることも必要になってきま
す。不妊治療をこれから始めるという方は、そのことも夫婦で確認し合うことがたい
せつだと思います。
 




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