私がカウンセリングをしたカップルで、こんな方たちがいました。男性は、20歳のときのバイクの事故で脊髄損傷をうけ、男性機能がいちじるしく障害を受け、精子の数は通常の10分の1以下しかありませんでした。しかし、幸い精子の質には問題ありませんでした。いっぽう、女性には不妊に関する問題はありませんでした。

 計算上、このカップルは人工授精で妊娠できるぎりぎりの線でした。それで人工授精も体外受精も行える医療機関を紹介しました。紹介先の医療機関から、人工授精から治療を開始しますという連絡をもらい、その後、医師、患者双方から何の連絡もありませんでした。

 それからかなりたって、ご主人のほうが風邪で来院されました。診察のあと、さりげなく「奥さんはいかがですか?」と尋ねました。すると「妊娠8か月です」という返事です。「人工授精がうまくいったのですか?」と尋ねると「紹介された病院には1回行っただけです。家内は、そのあとすぐに自然に妊娠しました」という答えに二度驚いたものです。

 このように、妊娠しにくいと考えられるカップルでも、自然妊娠はありえるのです。私は男性因子(精子検査)が正常で、女性の基礎体温が安定していて、卵管の通過性が確認されていれば、自然妊娠はありえると思います。不妊治療を受けているからといって、自然妊娠の可能性がまったくないというわけではないことを、決して忘れてはいけません。

「不妊ルーム」のカウンセリングには、これから子どもを考えている方も、お気軽にどうぞ。

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