ある女優さんのケースです。最初に「不妊ルーム」に来られた時は、”女優さんしている”感じでした。高ピーというか、”私のこと知ってるー?”って感じなのです。そしてその方は、不妊に関係する病気が、大変な状況でもありました。それで、「不妊ルーム」でのフォローアップは無理だと思いましたので、すぐに不妊の先生を紹介しますと提案したのです。

ところが、彼女は、当時仕事が忙しいということで、何とか舞台が終わるまで、ウチで面倒をみてくれないかと頼まれました。それで、不妊治療までのつなぎとしてフォローアップしたのです。漢方薬を処方し続けていました。そして、しばらくして舞台が一段落したということで、不妊の先生を紹介しました。ところが、私から紹介を受けた担当医も、私の紹介状と基礎体温表を見て、一言「難しい」と言ったきり、無言になったそうです。

彼女は涙を流しながら、車を運転して帰ったそうです。ところが、車を運転して帰ったその時、実は彼女はすでに妊娠していたのです。衝撃的なケースでしたから、鮮明に記憶に残っています。

その彼女が一人目の子を産んで、数年経って、二人目が欲しいと相談に来られたのです。こういうケース、実は「不妊ルーム」でとても増えているのですけれども。二人目で相談に来られた時には、たいへんに穏やかな感じで、最初に相談に来られた時とは全然別人なんですね。「えっ、この人、本当にあの人」という感じなんですね。スタッフも大変驚いていました。

子どもが欲しくなかった女性や、今回のケースのようなことをよく経験します。何が言いたいかというと、”気持ちというのは先取りすることができない”ということなのです。子どもには、「子ども力」とでもいうものがあって、女性を別の人に変えてしまうのでしょう。私は最近、つくづくそう思います。

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