「不妊ルーム」

妊娠しやすい人になる!

「不妊ルーム」で妊娠にいたる方には、特徴があるのです。
黄体機能不全がない人が、ある人より、基礎体温表がきれいな人が、
そうでない人より妊娠しやすいことは、だれでも理解できると思います。
また、夫婦の愛情が強く結ばれている方が、そうでないカップルより 
”妊娠力 ”が高いことも容易に想像できるでしょう。

しかし、そういったこととは別に、女性の側に
「妊娠しやすくなる心の持ち方」というのがあると、
私は「不妊ルーム」の経験から思うのです。
妊娠しなければ生理がやってきます。
この時、「また生理がきてしまった」と思ってしまうか、
「今月もまた、チャンスが来た!」と捉えるかによって、
妊娠しやすさは違ってくると、私は常々思っています

基礎体温表をいつも眺めて、妊娠のことばかり考えている生活は、
決して望ましいものではありません。
開き直りといったものが「妊娠」にポジティブに働くことは、
私のみならず、不妊治療を担当している先生方もしばしば口にしています。
あなたの周りにも、そういう話がないでしょうか?

ちょっと乱暴かもしれませんが、
「やることはやっているのだから、あとはなるようになる」
といった開き直りも、時として大切なのです。

「不妊ルーム」が産声を上げてから、18年近い歳月が流れました。
この間に本当に色々なことがありました。
そうした中で、ここ数年顕著な傾向があります。
それは、一人目を「不妊ルーム」で妊娠、
そして出産された女性が二人目を希望して、
再度「不妊ルーム」でのフォローアップを希望するといったケースが、
とてもに増えているのです。

ところが、ここで私は大きな壁にぶつかってしまいました。
というのは、一人目が自然妊娠、
あるいは、「不妊ルーム」で一人目を妊娠、
そして出産した女性が、4~5年経てから
「不妊ルーム」を訪れるというケースが多いのです。
一人目を出産したのが30代半ばであれば、
40歳前後ということになります。

もちろん、夫婦の側にしてみれば、
子どもができると二人目どころではなくなりますから、
子育てに振り回される日々が続きます。
そして、その子がヨチヨチ歩きを始め、
そして保育園、幼稚園に入園したあたりから二人目を考えはじめるのです。
ですから、4~5年の時間が経過するといういうことは、
ある意味自然なことなのです。

しかし、二人目を希望した女性が40歳前後となると、
卵子のエイジングという問題が前面に出てきます。
私は現在こうした二人目希望の女性と
毎日のように顔を会わせているわけですが、
こうした二人目希望を叶えることを「ドリームアゲイン」といっています。
そして、こうした女性達から異口同音に出てくるのが、
「卵子のエイジングということを最初から知っていれば、
もう少し子どもを持つという計画を、
前倒しで考えることができた」ということです。

幸いなことに、漢方薬に加え、最近DHEAサプリメントなどを使って、
年齢の高い女性でも妊娠される方がとても増えてきました。

「不妊ルーム」は、今から17年前に、
不妊治療に対する違和感からスタートしました。
私は、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”をモットーに、
内科的なアプローチで妊娠にとりくんできました。

そして最近になってつくづく思うのは、
「不妊ルーム」は、通院されている方とともに
歩んできたということです。

今から10年前に、お腹の上からの超音波検査による
卵胞チェックを開始しました。
そのきっかけは、腹部超音波検査で、
「こういう超音波なら、何回やってもいい」と
言われたのがきっかけでした。
その女性は、長期間に渡って不妊治療を受け、
本当に辛い日々を送っていたそうです。
生理がきて憂鬱になり、排卵日近くになって、
婦人科に「卵胞チェック行かなくてはといけないと思うと、
1ヶ月に2度憂鬱になる」とおっしゃっていたのが印象的でした。
また、この腹部超音波検査による卵胞チェックを導入したことによって、
妊娠される方が増加しました。

さらに、数年前からDHEAサプリメントを薦めることも行っています。
これも最初のきっかけは、DHEAサプリメントを持参された女性が、
「これはどうなのでしょうか?」と私に質問されたのがきっかけでした。
そして、37歳以上の女性の妊娠が約2割増えたのです。

「不妊ルーム」は、これからも、通院者の方の声に耳を傾け、
一緒に成長していきたいと願っています。

44歳女性が妊娠した理由

「不妊ルーム」で、44歳の女性が妊娠されました。
彼女が妊娠に至った理由を考えてみたいと思います。

医学的な理由づけとしては、彼女は不妊治療経験がありませんでした。
ですから、hCGやhMGといった、卵子や卵巣の老化を早めてしまう
注射などが一切行われていません。
これは大変重要な点です。

その一方で、彼女は妊娠しやすい性格だったと言えると思います。
本人は年齢はもちろん自覚されていましたが、
いつも前向きで明るく、ポジティブな印象を私は受けました。
こうしたことは医学的ではない、と考える方もおられますが、
私はそうは考えません。

彼女の妊娠が分かった時、うちのクリニックのスタッフから
「とても44歳には見えない」という声が上がりました。
こうした見かけが若く見える、気持ちを若く持つことは、
副交感神経優位に働きますので、妊娠に対してもポジティブな効果がある、
私はそのように考えています。

また数年前に「不妊ルーム」の最高齢となる47歳の女性が妊娠され、
その後48歳で出産されました。
彼女もまた物事に動じない、明るい、しっかりした性格の方でした。
この女性に関しては、『35歳からの妊娠スタイル』(主婦と生活社)
に詳しく書きました。

さらに、このおふたかたに共通していることは、
周囲に対して協力的な性格であると言うことです。
「私の妊娠が皆様の励みになるのであれば、私としても大変うれしいです」
「なんとしても48歳で出産して、皆さんを元気づけたいですね」
といったコメントが印象的でした。

「不妊ルーム」のモットーは、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”
ということです。

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。
これは、不妊治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。
私がメールで不妊治療からリタイアすることをすすめたことに対して、
お礼を書いてきてくれたのです。

   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。

赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと
不妊治療に足を踏み入れ、身体的、精神的苦痛を味わい、
経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、
どんなにがんばっても赤ちゃんに恵まれないカップルはいるのです。

不妊治療を続ければ続けるほど、
赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、
いつかは決断をしなくてはならないときもきます。

不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、
どうしても赤ちゃんができなければ、
赤ちゃんのいる生活がすべてではないと
割り切ることも必要になってきます。
不妊治療をこれから始めるという方は、
そのことも夫婦で確認し合うことがたいせつだと思います。




「不妊ルーム」