「不妊ルーム」

42歳で妊娠された女性の言葉

「不妊ルーム」は、開設してから数年の間、
フォローアップをする女性の年齢を40歳未満としていました。
それは、当時は内科医である私が、40歳以上の女性を、
妊娠という目的に向かってナビゲーションしていく自信が
なかったことも正直ありました。

その後、フォローアップを希望される女性が増えるにつれて、
また「不妊ルーム」もいろいろな工夫を行ったことによって、
妊娠は増えていきました。
それでも、年齢制限の撤廃にはなかなか踏み切れませんでした。
きっかけになったのは、ある女性の”メール”です。

かなり古い話になりますが、38歳で、二人目希望の方が見えました。
当時は、6ヶ月間フォローアップを行って妊娠に至らない場合、
不妊治療へのステップアップをすすめるということを基本にしていました。
それは、「不妊ルーム」で半年間フォローアップをして妊娠しない場合、
その後の妊娠率が低下することが経験的にわかってきたからです。

そして、彼女に不妊治療をすすめました。
しかし、彼女はキッパリと、
「不妊治療を受けるつもりは一切ありません。
このままフォローアップをお願いします」ということでした。
どれだけ時間が経っても、彼女の姿勢は一貫していました。
そして、3年8ヶ月通院された結果、妊娠反応「陽性」が出たのです。
彼女は42歳になっていました。

彼女から、無事女の子を出産したというメールをいただきました。
そのメールの中に、「子供が欲しいと思う気持ちに年齢はありません。
どうか子どもを望むすべての女性を導いてください」
と書かれてあったのです。
このことがきっかけとなって、私は”年齢制限を撤廃”したのです。
その後、DHEAサプリメントなどが味方となり、
40歳以上の女性も安定的に妊娠されるようになりました。

FSHやLHがよくないときは?

不妊診療の現場では、FSHの数値がよくないと、
AMHなどと同様に
「卵巣が老化しています。早く体外授精に進みましょう」
などといったことになりやすいのです。

FSHやLHの値が高い場合でも打つ手はないのでしょうか?
「不妊ルーム」では、FSHが高い場合、漢方薬を処方することによって、
多くのケースで効果が見られることを実感しています。
漢方薬は体内インフラを整えるアイテムのひとつであり、
体内インフラを整えることで、
こうしたホルモンの値をより妊娠しやすい状態に近づけることができます。

さて、当院の「不妊ルーム」では、40代女性の妊娠も普通になってきましたが、
そうした女性達の妊娠した周期の基礎値を振り返ってみると、
FSHの値が低く、LH/FSHのバランスがよい周期で
妊娠に至っていることが多いのです。
基礎体温表にはFSHとLHの数値も記入しておき、
もし数値の改善が把握できれば、妊娠のチャンスも高まります。

Lesson :FHS、LHの数値がよい周期は妊娠の可能性が高まる

不妊の検査のひとつに子宮卵管造影があります。
子宮卵管造影は、子宮の内部の形の異常と、
卵管の通過性を調べるものです。子宮の内側の形や、
卵管と卵巣の癒着も調べることができます。
もし両方の卵管が閉塞していれば、通常の夫婦生活はもちろんのこと、
人工授精を行っても妊娠することはできません。
また子宮のなかに壁ができて、子宮が二分されている双角子宮も、
程度によりますが、妊娠が困難な場合があります。
そういうことを診断するために子宮卵管造影は行われます。

不妊外来では、子宮卵管造影は初期に行われることが多いようです。
子宮卵管造影は、子宮口からカテーテルという細い管を
子宮のなかに入れて、造影剤を注入し、
レントゲン写真を撮ります。
卵管は長さが約10センチ、直径は細いところで約1ミリです。
その細いところに卵管造影剤を注入するので、
卵管が詰まっていれば造影剤は流れ込めないため、
レントゲン写真にその先が写ってきません。
そこで異常が発見されるのです。

子宮卵管造影には、もうひとつ重要なことがあります。
それは、治療的側面をもつということです。
子宮卵管造影の検査のあとに妊娠率がアップすることは、
よく知られています。

卵管が完全に閉塞しているのでなく、
通りが悪い程度であれば、卵管の通りがよくなり、
軽い癒着であればはがれてしまうともいわれています。
子宮卵管造影検査のあとの6か月は妊娠しやすいのです。

もしあなたが不妊治療を受けるのであれば、
ドアをノックする婦人科で、子宮卵管造影検査がおこなえるか
必ず確認してください。
なぜなら、この検査をおこなえない医療機関がとても多いからです。

妊娠力アップの3つの法則

私は今から14年前に出した『妊娠レッスン』は、
ベストセラーになりました。
その本で私は、妊娠力をアップする”3つの法則”を提案しました。

その3つの法則とは、

   1)基礎体温表をつける
   2)排卵日検査薬を使う
   3)セックスの回数を増やすということでした。

基礎体温表と排卵日検査薬を併用しながらも、
妊娠しないという人はたくさんいると思います。
その理由の1つは、この2つを上手く有機的に結びつけていないのです。
その具体的な方法を『妊娠レッスン』で説明したため、
多くのカップルに受け入れられたのだと思います。

そして、意外に盲点になっているのが、
セックスの回数を増やすということです。
排卵日検査薬と基礎体温表を併用することで、
あまりにも「排卵」ということに神経が集中しすぎてしまい、
その結果最も大切なセックスの質が
忘れ去られてしまうことも少なくないのです。

「カウンセリング妊娠」とは?

昨日、37歳の女性が、妊娠されました。
妊娠反応陽性時の治療は、「漢方薬+DHEAサプリメント」でした。
しかし、彼女の妊娠の特記すべきことは、
「体外受精カウンセリング」の予約をしていたということです。

実は、こういう形の妊娠が、珍しくないのです。
「体外受精カウンセリング」を予約すると、妊娠して、
結局体外受精が必要なくなるということが、よく起こります。
なぜこんなことになるのでしょうか? 

その理由は、私はシンプルだと思います。
「体外受精をやろう!」と決めたことによって、
ある種の開き直りの気持ちになれるからです。
そうして吹っ切れたことによって、
妊娠が、ぐっと身近に引き寄せられるのでしょう。

また、当院に電話をかけて、「不妊カウンセリング」を申し込んだら、
しばらくして「、カウンセリングをキャンセルしてください」
というメールが入ります。
最近も下記のようなメールが、私のもとに届いています。

【メールから】
先日○月○日にカウンセリング予約をしました○水○子と申します。
実は最近、妊娠している事が分かった為、お手数ですが
カウンセリングの予約をキャンセルしたく
よろしくお願い申し上げます。

また、カウンセリングに来られた当日、
妊娠反応が出るということも稀ではありません。
そうした方は、異口同音に、
「カウンセリングの予約がとれたらほっとした」と言われます。

私は、「妊娠を追いかけると、妊娠は逃げていく」という言い方をします。
やはりある種の吹っ切れたような開き直りといったようなものが、
妊娠には大切なように思います。




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