「不妊ルーム」

プレミアム妊娠を考える

”プレミアム妊娠”ということを考えます。
プレミアムと言うと、高級感をともなうセレブなイメージがありますが、
そういうことを意図しているわけではありません。

要するに妊娠されたときに、
その妊娠を安心して継続できるような状態で、
産科の先生に送り出したいと私は思っているのです。

妊娠できたのはいいですけれども、その時に乳がんが発見された場合、
本当に大変なことになります。
ですから私は、”乳がんのないことを確認してから妊活しましょう”と
口うるさく言っています。

女性に貧血はつきものですし、貧血のある体で妊娠した場合、
その継続が困難になってくるかもしれません。
ですから鉄欠乏性貧血にも注意を払っています。

出産の後は、子育というロングランの生活が始まります。
そのために何より大切なのは、あなた自身の健康だと思うのです。

また、妊娠との関連で、甲状腺ホルモンの重要性が高まっています。
それは、甲状腺ホルモンをより厳格にコントロールすることにより、
妊娠率が上昇するのみならず、流産率が低下することが明らかになったからです。
妊娠を横に置いても、バセドー病、橋本病など、甲状腺の病気は女性に多いのです。

人間は哺乳類の中でも流産しやすい動物でもあるのです。
ですから健全な体で妊娠が継続できるようにと願っているのです。

妊娠ということが気になり出すと、
そのことばかりに頭が行って、近視眼的な思考になりがちです。
しかしすべては、健康なからだあってのことです。

レッスン:妊娠は10ヶ月、子育てはロングラン

無沙汰しております。●井 ●子といいます。

3人目を無事に昨年出産し、その子も1歳を迎えました。
本当にお世話になりました。ご連絡が遅くなりすみません。

2年おきに3人の子を授かり、
毎日忙しくも母親になれたことの幸せに浸っています。

先生が3人目は初めてだとおっしゃっていて、
とても勝手に名誉なことだと思っています。

思い返せば、2012年に一人目を妊娠したいと切望し
クリニックへ足を運んだのがきっかけでした。

大丈夫、妊娠しますよ、と先生が軽く言い、
私は未知なる世界に本当に大丈夫かという疑問と、
客観的に第三者に言ってもらえたことで、
安心してドンと構えていられるようにもなりました。

2人目・3人目もおまじないのように、
先生に会えればポジティブな方向にいくような気がして
通わせてもらいました。

すべての人が上手くいくわけではないと思いますが、
本当に信頼して通院させてもらい、金銭的にも、身体的にも負担なく
出来たことで心身のストレスは非常に軽かったように思います。

さて、私も保育園に3人を預け、復職しました。
子育ては今からが本番ですし、
自分の仕事も精いっぱい社会へ貢献したいと思い、日々働いています。

先生のような理念と活動がもっと社会に広がり、
たくさんの親と子供が生まれることを期待します。

4人目?はあまり考えていませんが、
気持ちが変わったらまたご相談させてください、笑

42歳で妊娠された女性の言葉

「不妊ルーム」は、開設してから数年の間、
フォローアップをする女性の年齢を40歳未満としていました。
それは、当時は内科医である私が、40歳以上の女性を、
妊娠という目的に向かってナビゲーションしていく
自信がなかったことも正直ありました。

その後、フォローアップを希望される女性が増えるにつれて、
また「不妊ルーム」もいろいろな工夫を行ったことによって、
妊娠は増えていきました。
それでも、年齢制限の撤廃にはなかなか踏み切れませんでした。
きっかけになったのは、ある女性の経験です。

かなり古い話になりますが、38歳で、二人目希望の方が見えました。
当時は、6ヶ月間フォローアップを行って妊娠に至らない場合、
不妊治療へのステップアップをすすめるということを基本にしていました。
それは、「不妊ルーム」で半年間フォローアップをして妊娠しない場合、
その後の妊娠率が低下することが経験的にわかってきたからです。

そして、彼女に不妊治療をすすめました。しかし、彼女はキッパリと、
「不妊治療を受けるつもりは一切ありません。
このままフォローアップをお願いします」ということでした。
どれだけ時間が経っても、彼女の姿勢は一貫していました。
そして、3年8ヶ月通院された結果、妊娠反応「陽性」が出たのです。
彼女は42歳になっていました。

彼女から、無事女の子を出産したというメールをいただきました。
そのメールの中に、「子供が欲しいと思う気持ちに年齢はありません。
どうか子どもを望むすべての女性を導いてください」
と書かれてあったのです。
このことがきっかけとなって、私は”年齢制限を撤廃”したのです。
その後、DHEAサプリメントなどが味方となり、
40歳以上の女性も安定的に妊娠されるようになりました。

「うさぎとかめ」と妊娠

「うさぎとかめ」という有名な童話があります。
かめがうさぎにかけっこで勝てたのは、
うさぎが途中でさぼって寝ていたからです。
不妊治療と「不妊ルーム」の関係も、
「うさぎとかめ」に例えられるのかもしれません。
もちろん不妊治療の先生がうさぎのように、
休んでいたり、さぼったりするわけではありません。

ちょっと考えてみましょう。不妊治療の医療機関には、
うさぎが駆け足で走るように、型どおりの診察と、
テンポの速いステップアップで、人工授精、
体外受精へと進んでしまうところが少なくありません。
患者さんが治療のテンポについていけなかったり、
ステップアップに躊躇していると、
ドロップアウトということも少なくありません。
また、治療の長期化に伴いストレスをため込んで
結果的にバーンアウトしてしまう女性も多く見てきました。
「不妊ルーム」は、あくまでもかめの歩みのごとく、
”まったりと、ゆったりと”をモットーに考えています。

もし妊娠へ至る道が、直線レースのようであれば、
かめはうさぎに勝つことなど絶対できません。
しかし妊娠というのは、1周が28日~30日のトラック競技のようなもの。
かめがゆっくり歩いても、走ってきたうさぎが、
あなたのうしろにいるかもしれないと考えてみてはどうでしょうか? 
急いだからといって、いい結果が必ず出るものではありません。
うるおいのある生活を楽しむことで、気分が明るくなることのほうが、
妊娠によい効果をもたらしてくれることも多いものです。

「ストレスを少なくしましょう」という言い方をされますが、
これは実際に行うことは難しいと思います。
なぜなら、私たちは、多かれ少なかれストレスにさらされながら
生きているとも言えるからです。

しかし、不要なストレスを避けること、
そして、そして何よりも大切なのは、
ストレスは避けて通れないものと考え、
それを身体の中に溜めこまないことです。
「デトックス」(毒出し)という言葉が流行りましたが、
身体の中からストレスをできるだけ早いうちに
追い出してしまうということは、とても大切です。

私がおすすめする〝ストレスデトックス〟の方法は、
副副交感神経が優位になるような生活です。
人間のからだは、意識とは別に交感神経と
副交感神経からなる自律神経というものに支配されています。
緊張すると血圧が上がったり、心臓がドキドキするのは、
交感神経が優位になるためですし、
お風呂に入りリラックスすると心拍数が落ちるのは、
副交感神経が優位になるからです。

1日の終わりにはゆっくり入浴する、
パートナーとくつろいだ時間を持つ、
気に入ったアロマオイルを試したり、お花をかざったり……。

こうしたくつろいだ時間を持つことは、
副交感神経を高めることにつながります。
実をいうと、この自律神経の司令塔もまた、大脳の視床下部です。
したがって、副交感神経優位な生活は、
質のよい卵子が排卵されやすい生活であり、
そして妊娠に近づきやすい生活と言えるのです。




「不妊ルーム」