「不妊ルーム」

片足だけステップアップする

不妊治療は一般的にステップアップ療法で進みます。
すなわち最初はタイミング法、それでうまくいかなければ、
第二ステップとしての人工授精、
そして第3ステップとしての体外受精となるわけです。

ステップアップというと、次のフェイズに行ってしまうので、
何やら前に戻れないような印象も持ちますし、
なんとなく重苦しい雰囲気もあります。

階段を上る時を考えてみてください。
私たちは階段をぴょんぴょんと、両足一緒に駆け上がるでしょうか? 
そんなことをする人は誰もいませんね。
片足ずつ交互に登っていくはずです。
そこで不妊治療も片足だけのステップアップを考えてみてはどうでしょうか。

タイミング法の次は人工授精になるわけですが、
自分たちでもタイミングをとるわけです。
これはとても大切な考え方で、人工授精にステップアップしたからといって、
タイミング法における妊娠が不可能だと
言うことを意味するものではないからです。

目的はまず妊娠することなのですから、
妊娠した時に人工授精で妊娠したのか、タイミングバッチリだったから、
タイミングで妊娠したのか分からないというのも理想だと思います。
このような考え方をすれば、
人工授精に進んでも前向きな気持ちになれると思います。

子どもができないなと思った場合、とりあえず家の近所、
職場の近くの婦人科をノックすると言うのは、
ごく自然なアクションなのかもしれません。
しかしここには2つの大きな落とし穴があると思います。

その落とし穴の1つは、婦人科の先生の中には、
不妊治療に関してはあまり詳しくないにもかかわらず、
治療をおこなっている医師が意外と多いと言うことです。

こうしたドクターに限って、
「赤ちゃんができやすくなる注射です」
「排卵をより確実にする注射です」などと言って、
hCG注射が行われているケースをたくさん見てきました。

hCGは、確かに排卵を誘発する作用がありますが、
遺残卵胞と言う邪魔になる卵胞をたくさん残してしまう問題もありますので、
できれば避けたい注射でもあります。

もう一つの問題点は、多くの婦人科クリニック、
レディースクリニックには、子宮卵管造影検査の設備がないことです。
子宮卵管造影検査は、不妊症の最も大切な検査の1つですから、
まず卵管造影検査の設備があることを確認してから、
不妊治療のドアをノックしていただきたいと思います。

妊娠しやすい人になる!

「不妊ルーム」で妊娠にいたる方には、特徴があるのです。
黄体機能不全がない人が、ある人より、基礎体温表がきれいな人が、
そうでない人より妊娠しやすいことは、だれでも理解できると思います。
また、夫婦の愛情が強く結ばれている方が、そうでないカップルより 
”妊娠力 ”が高いことも容易に想像できるでしょう。

しかし、そういったこととは別に、女性の側に
「妊娠しやすくなる心の持ち方」というのがあると、
私は「不妊ルーム」の経験から思うのです。
妊娠しなければ生理がやってきます。
この時、「また生理がきてしまった」と思ってしまうか、
「今月もまた、チャンスが来た!」と捉えるかによって、
妊娠しやすさは違ってくると、私は常々思っています

基礎体温表をいつも眺めて、妊娠のことばかり考えている生活は、
決して望ましいものではありません。
開き直りといったものが「妊娠」にポジティブに働くことは、
私のみならず、不妊治療を担当している先生方もしばしば口にしています。
あなたの周りにも、そういう話がないでしょうか?

ちょっと乱暴かもしれませんが、
「やることはやっているのだから、あとはなるようになる」
といった開き直りも、時として大切なのです。

「不妊ルーム」が産声を上げてから、18年近い歳月が流れました。
この間に本当に色々なことがありました。
そうした中で、ここ数年顕著な傾向があります。
それは、一人目を「不妊ルーム」で妊娠、
そして出産された女性が二人目を希望して、
再度「不妊ルーム」でのフォローアップを希望するといったケースが、
とてもに増えているのです。

ところが、ここで私は大きな壁にぶつかってしまいました。
というのは、一人目が自然妊娠、
あるいは、「不妊ルーム」で一人目を妊娠、
そして出産した女性が、4~5年経てから
「不妊ルーム」を訪れるというケースが多いのです。
一人目を出産したのが30代半ばであれば、
40歳前後ということになります。

もちろん、夫婦の側にしてみれば、
子どもができると二人目どころではなくなりますから、
子育てに振り回される日々が続きます。
そして、その子がヨチヨチ歩きを始め、
そして保育園、幼稚園に入園したあたりから二人目を考えはじめるのです。
ですから、4~5年の時間が経過するといういうことは、
ある意味自然なことなのです。

しかし、二人目を希望した女性が40歳前後となると、
卵子のエイジングという問題が前面に出てきます。
私は現在こうした二人目希望の女性と
毎日のように顔を会わせているわけですが、
こうした二人目希望を叶えることを「ドリームアゲイン」といっています。
そして、こうした女性達から異口同音に出てくるのが、
「卵子のエイジングということを最初から知っていれば、
もう少し子どもを持つという計画を、
前倒しで考えることができた」ということです。

幸いなことに、漢方薬に加え、最近DHEAサプリメントなどを使って、
年齢の高い女性でも妊娠される方がとても増えてきました。

「不妊ルーム」は、今から17年前に、
不妊治療に対する違和感からスタートしました。
私は、”不妊治療だけが妊娠に至る道ではない”をモットーに、
内科的なアプローチで妊娠にとりくんできました。

そして最近になってつくづく思うのは、
「不妊ルーム」は、通院されている方とともに
歩んできたということです。

今から10年前に、お腹の上からの超音波検査による
卵胞チェックを開始しました。
そのきっかけは、腹部超音波検査で、
「こういう超音波なら、何回やってもいい」と
言われたのがきっかけでした。
その女性は、長期間に渡って不妊治療を受け、
本当に辛い日々を送っていたそうです。
生理がきて憂鬱になり、排卵日近くになって、
婦人科に「卵胞チェック行かなくてはといけないと思うと、
1ヶ月に2度憂鬱になる」とおっしゃっていたのが印象的でした。
また、この腹部超音波検査による卵胞チェックを導入したことによって、
妊娠される方が増加しました。

さらに、数年前からDHEAサプリメントを薦めることも行っています。
これも最初のきっかけは、DHEAサプリメントを持参された女性が、
「これはどうなのでしょうか?」と私に質問されたのがきっかけでした。
そして、37歳以上の女性の妊娠が約2割増えたのです。

「不妊ルーム」は、これからも、通院者の方の声に耳を傾け、
一緒に成長していきたいと願っています。




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