「不妊ルーム」

「不妊治療と「不妊ルーム」は何が違うのですか?」
といった質問を受けることがあります。

私は、本の中で「不妊ルーム」は、不妊治療に進む前の
”ベースキャンプ”と書いています。
また、「不妊ルーム」にみえるカップルには、
「二階建ての家をイメージしてください。
一階が自然妊娠で、二階が不妊治療、
「不妊ルーム」は、一階から二階へ上がる
階段の踊り場的な場所と考えて下さい」と説明することもあります。

もちろん「不妊ルーム」V.S. 不妊治療というふうに
対立するものではありません。
しかしながら、不妊治療は、多くの女性にとって、
アンハッピーな経験だと思います。
不妊治療を受けていた期間が、充実していたなどという声は、
聞いたことがありません。

私自身、数多くの声を耳にしていますので、
「不妊ルーム」は、”重くしない・暗くしない・軽快な雰囲気で”、
ということを心掛けています。
先日見えた方は、「お茶のお稽古に行く前に寄りました」
と言われました。
また、市内の方は、「近くまでに来たので、ついでにこまクリに来ました」
という人もいました。
そうした軽快なフットワークで、来院してもらえればと思っています。

「不妊ルーム」でおこなっていることをひと言で言えば、
『内診台のない妊娠へのアプローチ』です。

私の方は、基礎体温表をコンパスにしながら、
内科的なフォローアップで、
妊娠に近づいていって欲しいと願っています。

できちゃった結婚のカップルの話はよく耳にするのに、
自分たちは赤ちゃんができずに悩んでいる。
何か納得いかないと感じている方も多いと思います。
ちょっとその理由づけをここで考えてみましょう。
結婚すると妊娠しづらくなるひとつの理由があります。
それは、結婚するとセックスの回数が
減るカップルが多いということです。
いわゆるマンネリズムが大きな壁となっているのです。

夫婦生活は、どうしても時間の経過とともに新鮮味を失っていくものです。
新婚当初はすべてが新鮮で、うきうき弾むような幸福感があったのに、
日常生活に追われているうちに、
いつのまにかそんな新鮮な気持ちを忘れてしまいがちです。
真新しかったカーテンも、クッションも、ベッドも、
見慣れたというより、見飽きたモノになっているかもしれません。
不便ではないけれど、新鮮味のないマイホーム。
そんな空間のなかで、セックスだけは新鮮な気持ちでなんて、
やはり難しいと思います。

これを打ち破るには、意識して変化をつけていきましょう。
大げさなことをしなければいけないわけではありません。
「不妊ルーム」で妊娠された方に聞いてみると、
それはちょっとした工夫でも案外効果があったようです。
カーテンの色を変えてみる、
ベッドまわりにお気に入りのグッズを並べてみる、
髪型を変えてみる、寝室に鏡を置いてみるなどなど。
旅行に行ったら妊娠したという方がとても多いのも、
環境の変化が普段のふたりに
新鮮な空気を吹き込んでくれたからではないでしょうか。

不妊治療をやめるとき

不妊治療をいつやめるかというのは、ほんとうにむずかしい問題です。
これは、不妊治療を10年間続けた45歳の女性からのメールです。
私がメールで不妊治療からリタイアすることをすすめたことに対して、
お礼を書いてきてくれたのです。

   誰かにそう言ってほしかったのだと思います。
   ここまで治療をがんばってきた私たち夫婦には、
   とても自分たちで踏ん切りをつけることができなかったでしょう。
   ふり返れば、私たち夫婦には桜の花が美しいと感ずる
   心の余裕もありませんでした。

赤ちゃんがほしい、この切実な願いをかなえたいと
不妊治療に足を踏み入れ、身体的?神的苦痛を味わい、
経済的負担を強いられているカップルはたくさんいます。
不妊治療はオール・オア・ナッシングであり、
どんなにがんばっても赤ちゃんに恵まれないカップルはいるのです。

不妊治療を続ければ続けるほど、
赤ちゃんへの思いはつのると思いますが、
いつかは決断をしなくてはならないときもきます。

不妊は、その人の人生観にかかわる問題でもありますが、
どうしても赤ちゃんができなければ、
赤ちゃんのいる生活がすべてではないと
割り切ることも必要になってきます。
不妊治療をこれから始めるという方は、
そのことも夫婦で確認し合うことがたいせつだと思います。

出産報告です

報告が大変遅くなり申し訳ありません。
昨年10月に無事女の子を出産いたしました、○良○子と申します。

友人に勧められてこまえクリニックに行ったのが一昨年の夏でした。
先生の配慮の行き届いた診察システムでストレスを強く感じることなく
半年近く通わせていただきました。

そろそろ体外受精も一度やってみようかな、
と紹介頂いた病院で、妊娠することができました。

メルマガでは毎日、心の持ち方など
『普通に』丁寧に暮らすことの大切さなどを教えていただきました。

特に、先生の仰る、プレミアム妊娠(乳がん検診等大事にすること)は、
自分の目的はただ妊娠することではなく、
人生を歩む中にある一つの出来事に過ぎない、やれることをやろう、
ということを教えていただいたように思います。

出産し、初めての子育てに奮闘してみると、
本当に私自身倒れる訳にはいかないとつくづく感じます。

先生にお会いできたおかげで、ストレスに負けずに妊娠、
無事出産ができました。
本当にありがとうございました。

これからも、先生の配慮の行き届いた診察システムで
前向きに妊活出来る方が増えますように。

残暑厳しいですが、先生もスタッフの皆さまも
どうかお身体をお大事になさってください。

○良○子

42歳で妊娠された女性の言葉

「不妊ルーム」は、開設してから数年の間、
フォローアップをする女性の年齢を40歳未満としていました。
それは、当時は内科医である私が、40歳以上の女性を、
妊娠という目的に向かってナビゲーションしていく自信が
なかったことも正直ありました。

その後、フォローアップを希望される女性が増えるにつれて、
また「不妊ルーム」もいろいろな工夫を行ったことによって、
妊娠は増えていきました。
それでも、年齢制限の撤廃にはなかなか踏み切れませんでした。
きっかけになったのは、ある女性の”メール”です。

かなり古い話になりますが、38歳で、二人目希望の方が見えました。
当時は、6ヶ月間フォローアップを行って妊娠に至らない場合、
不妊治療へのステップアップをすすめるということを基本にしていました。
それは、「不妊ルーム」で半年間フォローアップをして妊娠しない場合、
その後の妊娠率が低下することが経験的にわかってきたからです。

そして、彼女に不妊治療をすすめました。
しかし、彼女はキッパリと、
「不妊治療を受けるつもりは一切ありません。
このままフォローアップをお願いします」ということでした。
どれだけ時間が経っても、彼女の姿勢は一貫していました。
そして、3年8ヶ月通院された結果、妊娠反応「陽性」が出たのです。
彼女は42歳になっていました。

彼女から、無事女の子を出産したというメールをいただきました。
そのメールの中に、「子供が欲しいと思う気持ちに年齢はありません。
どうか子どもを望むすべての女性を導いてください」
と書かれてあったのです。
このことがきっかけとなって、私は”年齢制限を撤廃”したのです。
その後、DHEAサプリメントなどが味方となり、
40歳以上の女性も安定的に妊娠されるようになりました。




「不妊ルーム」