「不妊ルーム」

私は、ホームページに次のように書いたことがありました。
「体外受精」ですか?「海外旅行」ですか? 
もしかしたら「海外受精」するかもしれません。

体外受精にかけるお金で、海外旅行に行ってみたら、
妊娠しました……こんな報告をしてくれたカップルがいたので、
このように書いてみたのです。
このフレーズに対して、
「不愉快だ、こちらは真剣なのに」と言う人もいました、、、。

不妊治療を不真面目にみているのではもちろんありません。
こういった言葉にある意味過敏に反応してしまうとすれば、
リラックスした気分で不妊治療を受けることはむずかしいものです。
妊娠しにくい心の持ち方をしているのではないかと思ってしまいます。

ですから、あなた方も肩の力を抜いて、大きく深呼吸! 
リラックスして、これからのふたりの進む道を話し合ってみてください。

「不妊ルーム」で、47歳の女性が妊娠され、48歳で出産されました。
当院最高齢です。
彼女は当院を受診されるまでに、
人工授精16回、体外受精を6回、経験されていました。
漢方薬とDHEAサプリでの妊娠でした。
私には、ある種の開き直りが、奏功したように思えるのです。

「葉酸サプリがいいよと友人から勧められましたが、
先生はどう思いますか?」
と尋ねられたことがあります。

確かに色々なサプリメントが出回っているわけですが、
当院ではDHEAサプリをすすめることがあります。
この場合でも、私はあくまで西洋医学的な見地から
採血を行い血液の中のDHEAの値が低いことを確認してから、
DHEAサプリの摂取を勧めるようにしています。

葉酸も同様で、採血で血液の中の葉酸値を測ることができます。
低葉酸血症と診断された場合、サプリメントを摂取しなくても、
薬としてフォリアミンという薬があるのです。
もちろん診断がつけば健康保険が適用されますから、
本人負担も少なくてすみます。
そして、医学的に判断できないサプリメントはお勧めしません。

サプリメントと言うのもただ漫然と摂取するのではなく、
あくまでも科学的根拠に基づいて摂取したいものです。

受精が成立すると卵子は?

卵子の外側には透明帯といわれるゼリー状の膜が存在しています。
卵子に辿り着いた精子はその頭部に存在するアクロシンなどの
一群の酵素を分泌して、透明帯を溶かすような形で
卵子内部へと向かっていくのです。
そして、一番最初に辿り着いた精子のみが受精の権利を与えられます。

受精した瞬間、精子の頭部が卵丘細胞の透明体を突き抜けて
卵子に到達したその瞬間に、卵子がクルクルと回転するのです。
精子が卵子を回転させるのです。数億の精子のなかから、
サバイバルレースに勝ち抜いた唯一の精子が、
勝利の瞬間を歓喜したダンスです。
これを生命のダンス」と呼ぶ人もいます。

精子が卵子の細胞質内部に到達すると、卵子の透明帯は変性し、
以後の精子を受けつけなくなります。
透明帯はいわば複数の精子が入り込むのを
ブロックするために存在しているともいえます。

卵管膨大部で、受精が完了した卵子=受精卵は分割を繰り返しながら、
3日から6日という長い時間を掛けて、
ゆっくりと卵管内を子宮に向かって進み、
やがて子宮内膜に辿り着くのです。
そして、その瞬間が妊娠の成立です。
子宮内に辿り着く頃の卵子は、分割を繰り返した結果、
通常胚盤胞という状態になっています。

漢方薬と妊娠力アップ

「不妊ルーム」での漢方薬を使用する際の特徴として、
西洋医学的な視点をもって処方するということです。

黄体機能不全であれば、漢方薬の服用によって、
黄体ホルモンの数値が改善してくるかどうか、排卵障害であれば、
実際に超音波検査で排卵が認められるか、
などといった確認をしているのです。

そして、健康保険適応ですから、
本人負担は、月に2000~3000円程度です。

実際に当院の漢方薬を服用されている女性は、
漢方薬について以下のような感想を寄せてくれています。

●先週から漢方薬を飲んでいますが、煎じて飲むと
体がポカポカしてくるなぁと感じます。
まだ1週間程度なので効果は実感しづらいのですが
ぜひ続けていきたいと思います。
出先ではなかなかお湯に溶かして飲むのが難しいですが、
最近では職場に水筒を持参するなどして
できるだけそうするようにしています。
ただ味が苦手でココアと混ぜたらどうかなど、画策しています(笑)

●私の場合もFSHの数値が改善したり
生理痛が楽になったりと、効果がすぐみられました。
病は気から? ということも要因かもしれませんが(笑)
値段も負担にならないですし、妊娠に関係なく
体調改善という視点でも引き続き飲んでいきたいものです。

●私はのど(扁桃腺)が弱く、だいたい季節の変わり目には
のどを悪くしていたのですが、昨年夏から飲み始め、
そういうことがなくなりました。
毎年冬は手先、足先の冷えもひどかったのですが、
その点も改善したと思います。
心なしか肩こりなども緩和したような。
漢方薬はこれまで飲んだことがなかったのですが、
こんな良い副作用があるとは嬉しいです。

二人目不妊の女性に想うこと

子供の一人目はすんなりとできたのに、二人目に苦労する場合、
通称として「二人目不妊」という言葉がしばしば用いられます。
このことをお話するには、何よりも私が
行っている「不妊ルーム」での経験をお話するのが一番良いと思います。

「不妊ルーム」を開設して5年ほど経った頃から、
一人目が当院でできた方が、二人目を希望して来られる、
という人がポツポツと出始め、それが年を追うごとに増加してきました。
最近では同じ人が再訪するということが、半ば当たり前になっています。

そして多くの場合、一人目は2~3ヶ月で授かった人でも、
二人目で苦戦をするという人がとても増えているのです。
何故そうなってしまうのでしょうか? 
それは少し掘り下げて考えてみれば、答えは容易に出てきます。

実は二人目で再訪される人は、一人目ができて4~5年経って
再度来院するというケースが、圧倒的に多いのです。
そうすると当然のことながら、一人目が30代半ばでできたのであれば、
二人目希望の場合は、40歳前後ということになってしまいます。
ここで”エイジングの壁”というものにぶつかってしまうのです。
そしてこうした人達は、判で押したように
「もっと早く来るべきだった」と言います。

しかし子供が一人産まれると、とてもじゃないが
二人目どころではなくなってしまうわけです。
そして子供がヨチヨチ歩きを始め、やがて保育園、
幼稚園などに通いだした頃に、二人目と考えることになるからです。

さらに「不妊ルーム」での特徴としては、一人目を授かる際に、
不妊治療を経験された人は、「もう二度と不妊治療はごめんです」
というようなことも判で押したように言います。
そして子供というのは、言葉を発して
自分の意志を親に伝えることができるようになると、
これもまた判で押したよう「兄弟が欲しい」と言うのです。
そしたことが「二人目不妊」という人達を増加させる要因になっています。

いずれにしても、2人目を考えるのであれば、
1人目とあまり間をあけないということは、
これからの妊娠を考えるカップルにとって、大切な知恵だと私は思います。




「不妊ルーム」